虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第40回:アンテナの受送信はバランスよく(その2)

アンテナという受信する感性磨きが大切です

 私たち人間社会や企業間の競争社会も、このコウモリとガの攻め合いのように見ることができそうです。上司と部下、近所付き合い、日本と中国や韓国など近いほどに相互理解を深めて仲よくすればよいのにもかかわらず、お互いをけん制したり非難したりしています。
 これは想像するに、「欲」や「煩悩」の問題かもしれません。大晦日に除夜の鐘を百八つ聞いて煩悩を取り払おうとしていますが、年に1回まとめてではなく毎日1回1つの鐘でも聞いて清めたいものです。
 スマホから莫大な情報を簡単に受送信ができるようになり、SNSも使うことによって世界中から簡単に受発信できるようになってきました。文章ではなく、JK用語(女子高校生が使う略語)の単語並べ、文字ではなくイラストや動画も気持ちや状況を簡単に表現できます。これも便利さの半面に、弊害も見えるようになりました。
 若者がキレやすいといわれますが、頭で考えなく皮膚で反応するイメージです。ファーストフードのように食べ物も良く噛まないで食べるので、栄養過多になったり、噛む回数が少なくなり、咀嚼(そしゃく)能力も低下しているはずです。
 スマホを使いすぎるあまり、大学生でもパソコンが使えない社会現象が出てきました。文章を書くという行為は、筆記用具を用いて紙に要点を書きだしながら構成を考えて清書するものです。筆者が学生の時は、レポートはすべて万年筆で書くことが義務でしたので、書くこと自体が真剣勝負でした。ですから丁寧に書くというより、一度頭に入れて、少し熟成させて本当で良いか文や言い回しを練ってから、紙に書き下ろすイメージです。苦痛でした!そのせいか頭は真っ白になりました!
 コウモリとガの関係は、食うか食われるかの関係です。人間関係も五感で感じ取ったものをパッと反射的に相手に返すのではなく、心にいったん受け止めた方がよいでしょう。少し考えてから相手に対して一番良い返答は何かを少しでも考えることで、人間関係はずいぶんと良くなると思います。この受け止めて良い考えができるまでの少し考える時間が、思いやり、心配り、気配り、目配りといったものでしょう。

受信だけではなく、発信もして正しい情報を掴みましょう

 相手のことを受け止める心のアンテナは、高くそして大きくさらに感度良くしたいものです。よく言われる感性磨きは、本物に多く触れることが挙げられます。放置しておくと、サビやクモリが出て感度が鈍ります。アンテナを磨く方法は、自己規律を高めることです。
 また受信ばかりしていては、バランスが悪くなります。呼吸も息を吐いてから吸うことができるのと一緒で、送受信のバランスが大切です。本当はまず自分が発信して相手の反応を伺いながら受信アンテナを張って、相手が何を欲しているのかを的確に感じ取るようにしたいものです。
 そのために良い質問を考えておくことで、相手も話しやすくなり本音もすんなりと聞き出すことができます。それを繰り返すことで、見えなかったことが少しずつ相手から見せてもらえるようになります。相手の波長を合わせるという感性のアンテナ磨きが大切です。