虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第37回:眼だけではなく、全身を使って感じてみましょう(その2)

触れるとは、虫の眼でみることです

 現代病と言われる癌、高血圧、糖尿病、アトピー、うつ病などは、食生活の変化や脳の深い部分の活力が低下していることが要因なっているようです。これらは薬物療法で、改善できるものではありません。生きていることに感謝しながら、薬物によって汚染されたものではなく自然に近いものの命を戴き、そして自然の環境に身を置いて、身も心も浄化することの大切さを教えられます。
 “食事”とは、人が良くなる事と書くことができますが、分解してみると面白い気づきが発見できます。“触れる”という字は、つくりが“虫”になっています。角の先を使って、虫の眼で詳細に観察すると捉えても良いかもしれません。実際に触ってみるには、指を多く使います。しかも指の腹であり、手の甲の方ではありません。金型の研磨作業の職人と呼ばれる人は、この指で触ってミクロンオーダーの凸凹を察知すると言われますが、まさに超々敏感センサーになっています。
 指を触れるだけで、表面粗さや熱い冷たいといった温度、さらには湿気も感じ取れます。またプルプル感やベトベト感といった感触も、感じ取ることができます。さらに持ち上げてみると重量も感じ取れます。箱など筐体であれば、ちょっと振ってみると中にどれくらいのものが入っているかも容易にわかります。
 臭いは、臭覚器官である鼻が感じ取ります。工場内でも焦げ臭いとか、薬品の臭いというレベルなら十分に感じ取れます。犬のような臭覚を持つことはできませんが、いつもとニオイが違わないかと意識してみることでも気づきが生まれます。
 味覚は舌ですが、工場内の材料や機器を舐めるわけにはいきませんが、視角や触覚と合わせて味わうように観察することはできます。表面の汚れ具合や錆の発生具合、経年劣化などを想像しながら、まだ美味しく味わって(寿命はまだあるかな?)みませんか。味わうは、その職場の雰囲気を感じ取ると考えましょう。

五感だけでなく、第六感も使ってみましょう

 第六感とは、五感以外のもので五感を超えるものを指しており、理屈では説明しがたい、鋭くものごとの本質をつかむ心の働きのことであると称されています。誰もが持っているようには思えませんが、見方をちょっと変えると私たちはその力を持っていることに気づきます。
 それは、「目的は何か?」という疑問をいつも持つことで、養われると考えます。毎日の仕事や家事に追われていると、目先のことしか考えなくなり、視野が狭くなってしまうものです。硬直状態になり、せっかく持っている五感のセンサーも鈍くなってしまうものです。そのためには、心と脳に余裕を持たせることが大切です。
 筆者のやり方は、「目的は何か?」を考える時に合わせ深呼吸することにしています。できるだけゆっくり鼻から腹式呼吸で大きく息を吸います(4~10秒)。そして重要なのが脳に酸素を送るために、いったん呼吸を止めることです。これも同じ時間です。そして、ゆっくり時間を掛けて息を吐き出します。これを3回繰り返します。そうすると頭も神経もすっきりして、潜在意識が次第に目覚め始め、ハッとするような第六感が働くようになります。あとは、まめにメモを取ることです。