虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第33回:虹の色が7色に見えますか?(その2)

プリズムで太陽光線を分析してみました

 人工的に簡単に虹を作る方法にプリズムがあり、小さなものを早速入手しました。送られてきた箱には「三稜鏡」と表記がありましたが、現物を手にすると良く「三稜鏡」と翻訳したなあと感心しました。太陽光をプリズムに当てて屈折して発生するスペクトル(配置)を確認すると、入射と反対に映し出された2つの面から虹を綺麗に壁に映し出すことができました。
 虹は普通雨上がりに観察できる配置が、下から紫・青と続き上つまり外側が赤になります。しかしもう1つの虹は、上下の色の配置がまったく逆になります。しかもパッとみると色は7色ではなく、赤・緑・青・紫の4色に見えます。橙・黄・藍の3色は非常に光の幅が小さく区別が難しい状態でした。
 普段私たちが観察できる虹は、下に紫があり上には赤のある主虹といい、外側に少し離れた位置に見えるのが副虹になりますが、副虹はあまり見ることができません。というより気にしていない方が多いと思います。2つも虹が出たと、今日はラッキーと思う程度で、副虹の色の配置が主虹と逆になっているとは気づかないものです。見る時にもう少し観察というレベルで見ていくと、気づきが生まれます。
 虹(光学)を研究対象にしたのが、あのアイザック・ニュートンであり約300年前のことでした。やはりプリズムを用いてスペクトルを観察して、今までの概念であった5色に橙と藍を加えて、7色にしたのです。さらに彼は、光は7色ではなく連続的に色があることも気づいていました。7色にしたのは、音階のドレミファソラシドの7音階にありそれに合わせたようで、リンゴだけでなく虹にも関心があったようで意外な一面を覗くことができました。

虹の両外側には赤外線、そして紫外線があります

 私たちが光を見て色として感じられるのは、可視光線というごくわずかなスペクトルの領域の一部に過ぎません。紫は380nm(ナノメートル:10億分の1m)、赤は780nmで、中間の550nmが緑になります。
 例えばミツバチは、人間より短い波長の紫外線300nmが見えるので、太陽に雲が掛かっていても紫外線で自分の位置を確認し移動できます。逆にマムシは、頭部に赤外線を感じるセンサーを持っており、真っ暗でも小動物の体温を検知できる凄いハンターになれるのです。
 1800年に英国の天文学者が、プリズムで太陽光を分光していた時に赤色の先に温度計を置いていたところ、温度が上昇したことに気づき、見えないけど暖かい光線が出ていると考え赤外線を発見したといいます。
 現象に対して、可笑しいなあ?なぜだろう?と気づくことにコストはかかりません。世の中の発見の多くは、このような身の回りの少しの変化に疑問をもつこと、少し好奇心をもってもう一歩踏み込んで観察することで、大きな発見やヒントが見つかるものです。リンゴが自然落下した現象を見て、ニュートンは万有引力を発見しました。自然界をじっくり観察して、発見や疑問そして感動を生みだすことができるのは人間だけです。身の回りをちょっと意識して観察してみましょう。お宝が発見できますよ!