虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第32回:数字の配列を見てみましょう(その2)

電話と電卓の数値配列はなぜ違うのでしょうか?

 数値をよく使うようになったのは、小学生の時の算盤塾が始まりでした。学生時代には、技術計算は計算尺を多用したものです。しかし関数電卓が発売されてからは、もっぱら電卓を使うようになりました。当時の関数電卓は、1万円もした高級な事務機のような存在でした。
 電卓とプッシュフォンの電話は、ほぼ同時期にできた機器です。電卓の方は、1964年にCANON社が卓上計算機としてこのテンキーの配列を設定し、その後スタンダードになりました。プッシュ電話は、アメリカのAT&T社から1964年にサービス開始になり、その後この数値配列がスタンダードになりました。
 電卓と電話の数値の配列を見てみますと、電卓は0が一番下にあり、その上に、左から1、2、3と続きその上に、4、5、6。さらにその上には同様に7、8、9となっています。さてなぜこの配列でしょうか?これも問題にして、皆さんに問いかけてみても正解が出てきません。ヒントを出さないと、答えがわからないほど難しいようです。
 そのヒントとは、計算でよく使う、あるいは一番入力する数字は?二番目には何ですかと質問すると、0、1、2となります。計算に使う人の立場で考えられた数字の配列だったのです。毎日入力作業をしている人の指先を見ていますと、まったくキーを見ていないで入力されています。手が電卓と一体化しているようです。
 さて電話の数値の配列は、どうなっているでしょうか?思い出せますか?そうです、0が一番下にあり、その上が左から、7、8、9。その上には4、5、6。上段が1、2、3となっています。電卓と違いますが、なぜでしょうか?この質問も難しいものです。
 この問題のヒントは、昔のダイヤル式の電話にあります。つまりパルス発信方式で電話を掛けていたのです。①を回せば1個のパルス、②を回せば2個のパルスが発信します。さて、0のダイヤルでは何個のパルスが発信に必要ですか?と訊ねると、ようやく0ではなく10個と分かります。ですから電話の0の意味は、実は10だったのです。
 電卓の場合の数値は、使う順番に並べるのが、作業上ムダが少ない配列になっています。でも電話番号はどうでしょうか?まったくのランダムです。警察の電話が、111だと子どもが間違って掛けてしまいます。ですからわざと110にしたと考えられます。
 筆者は、一番良くかける自分の奥さんの携帯番号を知りません。でも名前で入力してあり、都度番号を入力する必要はないから覚えていなくても平気です。プッシュフォンだと相手の電話番号を入力する時は、やはり番号がランダムでも数値の配列は上から順番になっていた方が番号を自然に探せると思います。

円周率の中には不思議な秘密があります

 数値の配列でランダムになっている有名なものに、円周率πがあります。これは円周の直径に対する比率で定義される数学定数と言われます。計算上は、簡易的にπ=3.14で計算をしていました。最近ではもっと簡易的にするために、π=3としていますが、円周率に対してあまりにも失礼な感じを覚えます。
 この円周率はエジプト時代から3で計算をしていたようで、それが3.1で使うまでには長い年月を要し、さらに3.14にも随分と掛かったようです。今ではスパコンで計算して、小数点以下なんと13.3兆桁までわかっているそうです。
 面白いことに、この円周率の桁の中には、19531120という筆者の誕生日の数値の配列も必ず入っているそうです。どんな組み合わせでもどこかにあるそうですが、13兆の数値の配列には確率から言っても不思議はないものです。河川の長さ=水源から河口間の直線距離に対する比率は、平均すると円周率に近い値になるそうです。何か不思議な感じがしませんか?