ガラス管の中に、数個の提灯状のガラス玉と温度が刻印された金属板がぶら下がっています。ガラス管の中に入っているガラス玉には、着色された液体が入っています。この温度計は「ガリレオ・ガリレイ」の名前がついていますが、彼が発明したわけではなく、彼の業績に対して敬意を評してつけられました。温度計として16世紀頃に作られましたが、その後陽の目を見ることがなく博物館に寝ていたそうです。近年復刻版として欧州で生産され始めて、日本でも輸入されるようになった温度計です。
動作原理は、次の通りです。周囲の温度が変化した時に、ガラス玉に入っている液体とガラス管の液体との間で、浮力差が生じます。温度が高くなれば、ガラス玉はゆっくりと降下していきます。逆に温度が低くなれば上に浮上します。ただしこのガリレオ温度計の計測範囲は、普通18度から26度の2度刻みです。しかもこの動きは実にゆっくりとしたものであり、現在の世の中のスピードにはついていけません。でも世知辛い世の中には、このゆっくりとした動きが優雅な動きに見えてきます。
この温度計の温度の見方ですが、ガラス管の中央部分(周囲と温度による浮力のバランスが取れた状態)の高さで浮かんでいる色の付いたガラス玉を見て温度を見ます。ガラス玉の下には、金属板に数値が刻印されており、その数値を読み取ります。これは浮力を利用したものであり、恐らくイタリアのことなのでワインの比重の確認用に作られたものを、温度計に仕立て上げたと考えられます。
ちなみにこの温度計は、我が家の玄関に鎮座しています。夏になると28度以上になり、すべてのガラス玉は底に沈んでしまいます。逆に冬になれば、10度以下になってしまうので、ガラス玉はすべて水面下に浮き上がっています。
ドイツのアパートでも使っていましたが、セントラルヒーティングが備わっていたので、一年中が平均22度前後なので、18~26度の温度に良く対応してくれていました。
図1. ガリレオ温度計。室温は22℃とわかります
図2. 恋い焦がれる温度は何度だろう?