瓶の口径は、ビールでもコーラでもみんな直径は27mmになっており、これは世界標準になっています。ですから栓抜き1つあれば、世界中の瓶の王冠は抜栓できるのです。普段気づかないものですが、標準化されたものになっています。王冠をカシメた時の高さは、JIS規格で、5.97mmと決まっています。
著者が子どもの頃は、この王冠の裏蓋がコルク板でした。これを丁寧にはがし、シャツに王冠を付けて、その裏からこのコルク板をはめ込んでバッチにして遊んでいました。1985年頃からは、その材料もポチエチレンの樹脂に変わっていますが、サイズはまったく変わっていません。
瓶は1500度で溶かしたガラスの材料(団子状になっており、ゴブと呼ばれる)を瓶の金型に流し込み、高圧空気を2回吹き込んで瓶の形に成型します。その後金型を開いて瓶を取出して、あとはゆっくり冷やして完成品にします。成形時間はわずか数秒ですが、瓶はリサイクルされるのがペットボトルや缶とは大きく違います。耐用年数が約8年で、年間に3回程度回収されて20回前後再利用されます。欧州ではこの瓶の使用が多かったのですが、さすがに近年はペットボトルの便利さに負けてミネラルウォーターやジュース類のガラス瓶は減ってきました。
ドイツでは、瓶だけでなくペットボトルのリサイクルが盛んにおこなわれています。買う時に飲み物の値段に回収した時に払い戻される料金が上乗せになっており、スーパーなどに持ち込むとその料金が現金で戻ってきます。25セントですから、120円/ユーロですと約30円もします。ですから滅多に街中には、ペットボトルは転がっていません。それを回収して、換金してビールを買う年金生活者のよいアルバイトになっています。因みにビール瓶は、10セント(約12円)です。
日本は一升瓶が、5円でありとても安いと思います。日本もペットボトルなどに回収金制度を設けて、もっと街中が綺麗になれば、評判が良くなり外国からの観光客もさらに増えるのではと考えてしまいます。
中にはへそ曲がりの会社もあるもので、フランスのアルザス地方で見つけた王冠は、なんと24のものがあり、未だに大切に保管しています。でも口径は少し大きく、栓抜きがない時でも手で力を入れて回すと抜栓できるスクリュー機能も付いていた王冠でした。ベルギーには22の王冠もあるそうですが、ベルギーのビール会社はメーカーごとにビールに合わせた個性あるグラスも作っており、グラスが欲しいといったらビールと同じ値段で売ってくれます。持って帰るのは大変でしたが、1つお土産にしました。
瓶の口径は、コップに注ぎやすい大きさ、あるいは人の口に合わせた大きさと考えられます。軽自動車、普通自動車、大型自動車、バスやトラックは見たからに大きさがまったく違いますが、でもエンジンキーはどれもほぼ同じ大きさになっています。車種によって大きさが比例していますと、トラックだとバカデカイ鍵になってしまい、持ち運びだけでなく、運転席も狭くなり運転しづらくなってしまうでしょう。
物の大きさには使いやすさが関係しているものであり、後工程のお客様がどのように使うのかを実際に現地現物で確認し、使い勝手を聴き出して良い商品づくりに反映させたいものです。変えるべきことと変えてはいけないことを見極め、良い製品づくりに反映させたいものです。