改めてからくりの原理と言われてもすぐに思い出すのは、テコと滑車の2つくらいの原理ですが、からくりカイゼンの原理原則は主に10個あります。でも心配ご無用です。この2つの原理を使うだけでも、ほぼ8割のからくりカイゼンができています。
今回は、10個のからくりの原理原則をお話していきますが、あれまあこれは中学の時の理科?と言うものも出てきます。
まずからくりカイゼンに最も多用されているのが、テコの原理です。ご存じのようにテコの原理を使って少ない力で大きなものを動かしたり、逆に大きな動きを小さくしたりすることもできます。
有名な話が、アルキメデスが「俺に長ーい竿をもってくれば、この地球を動かして見せる!」と豪語した逸話がありました。計算するととても長~い竿になりますが、考え方は正しいものでした。彼は地球が丸く、太陽の周りをまわっていたのを知っていたのでしょうか?
テコの原理を使った身近な事例を思い出してみましょう。ホッチキス、ハサミ、シーソー、押切、栓抜き、長い柄の座敷ほうき、ピンセットなどです。日常使っている道具は、動作原理を考えて使うものではありませんが、この道具の原理は何の原理はなにかと考えることはとても大事だと思います。困った時にフッと頭に浮かんでくることがあります。
缶ビールや缶ジュースのプルタブもテコの原理です。フタと一体化して散乱してケガをしない構造になっています。さて、穴の開いたプルタブに何㎏の力を加えるとビールが飲めるでしょうか?
誰も計測することはありませんが、力点である指先には約2Kgの力がかかります。プルタブの作用点である舌状のフタが開くのは約14㎏、つまりテコのレバー比1:7=2:14の関係になります。飲み口の舌状のフタは、左右対称ではありません。
メーカーによってこの部分の形状はまちまちです。でも右側が小さく、左が大きくなっています。曲率半径が違うのです。対象にすると均等に力が分散して、もっと大きな力が要るようになります。身障者の友達は指の力が弱いので、何気なくプルタブの指の位置を時計の11時方向にセットするとより少ない力で開くと言うのです。この原理を話すと納得していました。この突っ込みのなぜ?が、カイゼンにつながっていくと考えます。
今晩、缶ビールを飲む時には、舌の形状、どの部分から開いていくのかよく観察をしましょう。一層ビールが美味しくなると思います。
(次回に続きます)