からくりカイゼン 第5回

簡易自働化とからくりカイゼンの関係 その5

 簡易自働化では、手作業していた作業を少しでも機械に任せる考え方で製作していきます。簡易自働化を製作する時に大切なのは、加工組立する部品やパーツを支持したり保持したりする治具づくりだと考えます。

 治具は、英語の“JIG”の当て字のようです。アタッチメントと言う言い方も使います。アタッチメントの意味には、愛着と言う意味があるように、いかにも装着する時にセットしやすく固定もしっかりする相性が良いかどうかで、加工組立の品質に大きく影響します。

 加工組立する部品が治具に、シックリ、ピッタリ、ガッチリ、スッポリ、などと収まって保持することで、セットした部品が、ぶれない・ずれない・動かないようにして、加工組立が確実にできて、品質を安定させることができます。イメージとして、野手に合わせた野球のグラブです。

 多くの人は、自働化を機械化、オートメーション、ロボットなどと想像しがちです。豊田佐吉のお話にありましたように、自働化の大切な考え方は、機械設備が自ら異常を検知しそれ以上不良をつくらないようにすることです。

 加工組立を手作業から機械化したら、次にもっと安価にもっと便利にさらに品質確認もしてしまう簡易自働化の考えを組込んでいきます。それができるようになれば、さらにノーコスト、またローコストや他社にはない独自の工夫を盛り込こんでいく、からくりカイゼンに挑戦していきます。

 簡易自働化のもう一つの大切な考え方は、部品やパーツの1個取出し、払い出しを行うことです。この作業を人がやると、方向はどっちかな?裏表は?など意識せざるを得ない状況になると、脳は思考を一旦停止すると言われます。その時間は、約0.5秒です。これが毎回発生するとすれば、1日のムダがとんでもなく多くなります。もったいないです。

 最近のからくりカイゼンの取組は、この1個供給がとても多くなっているようです。1個取出しで、つかみやすい方向になっていると作業が流れるようになり、部品やパーツをセットしてスタートスイッチをオンにすると言う着々作業になっていきます。

(次回に続きます)