からくりカイゼンの7つ目の原理原則は、電気や静電気を活用するものです。これも磁石と一緒で一見見えない原理です。
電気には磁石とコイルを使って、電気を運動に変えるモーターの原理があります。逆に同じ原理ですが、運動を電気に変える発電機の原理があり、同じものです。電気を流して運動つまり回転させるのか、回転させて電気を発電させるかの違いです。
モーターの原理は、軸に正面から見ると「H」字状の鉄板を重ねた回転子にコイルを巻いた電機子と呼ばれる部品に2つのブラシと呼ばれる電極(電気を流したり、供給するもの)を1対組込みます。電機子の対面にN極とS極の永久磁石を囲むように組込みます。子どもの頃のM社の小型直流モーターで遊んだことを思い出しますね。現在でもミニチュアカーで大活躍です。
因みにドイツの自動車部品のサプライヤーで世界一のボッシュ社のゴロマークが、この電機子の断面図です。日本でも多く採用されていますので、ロゴでピンとくると思います。
からくりカイゼンとしては、直接この電機の原理はあまりお目にかかりません。なぜならメカ主体なので、からくりなのですからできるだけ電気を使わないようにするからです。からくりで、軸がきちんと回転していることを電気で確認する方法がありました。自転車のライトの発電機の原理を応用して、軸回転を電気に変えてランプ点灯して見える化したものです。
もう一つの静電気は、コピー機の印刷(トナーをくっつける)の原理で良く知られています。冬になると厄介者の静電気で、何度もビリビリとしびれた経験はどなたもあると思います。この静電気を利用したものに、粉塵などの集塵装置があります。車の車体の塗装にもこの静電気で、均一の塗料を付着することができます。コロナで大活躍のマスクもあります。
ゴミ焼却時の粉塵を回収する装置、室内の粉塵(ホコリ吸着布巾やホウキ)の吸収にも応用されています。ある空港で、喫煙室がまったく仕切った部屋ではなく解放された空間がありました。4本の柱から静電気を逆利用して、煙をはみ出ないようにして対流させて回収するしくみでした。コスト的には他に見られなかったので、かなり高額だったと思います。
製造現場では、サンドペーパーの砂を紙に付着させるなどがあります。むしろ静電気によるホコリなどの汚れの付着が問題になります。適当な湿度管理やアースなど帯電しない工夫が求められます。
(次回に続きます)