この「モヤモヤゾーン」を改善して、分母を小さくしてしまえという作戦です。そうすれば、小さな事故の300件を1/10にすれば、29件だった分子は、0か1になります。そうすれば、頂点にあった分子の「1」は、ゼロになります。
この「モヤモヤゾーン」をなくする方法と合わせて、お金のかからない方法も紹介します。鉄道各社がやっている指差し呼称です。指を指して、体もその方向に無理向けて、さらに声も出して確認しています。
つまり、見る、指を指す、体を向ける、声を出すといった一連の動作を、体全体を使って確認して喚起しているのです。これをやると何もしない場合のミス防止は、1/6にできるのです。これを2回繰り返せば、1/6×1/6=1/36になります。
鉄道各社の指差し呼称が、凛とした感じに見えるのは、常に一般市民に四方八方から見られているからです。工場内は、外部の人はいません。いわゆる緊張感が薄らいでしまっているのです。
自分の命は自ら守ることを、上司やリーダーは恥かしがらずにもっと部下に訴えるべきだと思います。部下の人生、そしてその家族の人生も握っていると考えて行動して欲しいのです。その職場の規律は、その長にあると考えています。職場の鑑は、まさに上司の規律そのものだと考えます。
ダブルチェックは、効果的な手法です。しかし、思わぬ落とし穴があります。これは体験談ですが、部下にもチェックをさせたものの結構見落としがありました。なぜか一緒に考えましたら、部下は安心してチェックをして、まさかミスや抜けはないだろうと最初からそう見てチェックをしていたようです。
さらに時間のズレもありました。その時にしないで、期限ぎりぎりになって慌ててチェックすることも要因でした。逆に時間的余裕、つまりゆとり必要なこともわかりました。
そこで、同時チェック方式にしました。一人でなく二人に同時に時間差なしで、しかも一方が読み上げて、他方が聞きながらチェックする方法です。時々読み手と聞き手を替えて、一方的にならない工夫もします。これならある説によると、ダブルチェックのさらに1/100以下になるそうです。
話半分としても効果的なやり方です。実際に色々な職場で実施してもらっていますが、ダブルチェックよりも効果があります。これに指差し呼称を2回繰り返すことで、現状よりも格段にミスを防ぐことができます。