6月のご挨拶

 新型コロナウィルスワクチン接種が始まりました。私は東京の町田市に住んでおり、65歳以上の高齢者向けワクチン接種予約の書類が連休明けに届きました。5月17日から予約開始なので、初日は避けて、翌日18日の昼過ぎに予約を始めました。方法は2通りで、電話かパソコン・スマートフォンからの予約です。

最初は電話をかけてみました。無料の「0120」ではなく、「042」で始まる普通の有料電話です。しばらく頑張りましたが、全くつながりませんでした。毎回、自動音声で「混んでいるのでおかけ直しください」と出るので、すぐ切って、すぐかけ直してを何度も繰り返したのですが、ダメでした。まあつながらないだろうな…と思っていましたので、10分くらいで止めました。

次はパソコンを使って予約を始めましたが、実に分かりにくい画面でした。何度も行ったり来たりしてようやく2回の予約が終わった時は約1時間が経っていました。私は決してパソコンが得意ではありませんが、年齢の割には使っている方だと思います。その上私はまだ70歳なので、今回の対象者の中では圧倒的にヤングです。それでもフーフー行ってしまったことを考えると、作業が煩雑でうまくできないので予約を諦めるお年寄りがかなり出てしまうのではないかと心配になりました。別の地域に住んでいる同年代の友人に聞いたところ、やはり分かりにくかったとのことですが、町田市と同じ仕組みではないのです。どうもそれぞれの地域で別々の分かりにくい仕組みができているようです。

さて、何が言いたいか…ですが、この分かりにくい仕組みが普通にできてしまうのが日本なのではないかと考えたのです。それぞれの地域で対応策を考えて実行する能力があることは素晴らしいのですが、今回のワクチン接種の場合は、それぞれが別々にやるので統一されておらず、完成度が低いものになってしまったということだと思います。

逆に海外ではこの分かりにくいバラバラな仕組みは作れないだろうと思います。海外では基本的に現場がものを考えることを期待していません。トップが仕事のやり方を決めて具体的な行動の指示をします。例えば接種が進んでいる海外の事例を見ると、国民医療が番号で一元管理されていて、年齢や病歴を考慮したワクチン接種の日時と場所が一方的に国から全員に配布されるといったトップダウンの動きがあるようです。

実はこれと同じ問題が日本の製造業にも起きています。日本のカイゼンは他国でマネできないすごい仕組みです。しかし製造、営業、設計、といったそれぞれの部署が独自にカイゼンをするため、工場の情報、営業の情報、設計の情報といった、関係性があるべき情報が分散していてお互いが協力することで生まれる全体最適の結果につながっていないことが多いようです。だから意思決定が遅く、人手がかかるようになっている所があります。全体最適の対応が求められる現在、この情報の分散を解決するアプローチをすることで、これまで培った現場カイゼンの力をもっと経営に生かすことができます。

これは現在の日本の製造業がチャレンジすべき課題の一つだと考えます。私はこの問題の解決方法として、すべての部門が参加して、全体最適のカイゼンを実行することがいいと思っており、そのアプローチをショールーム化と名付けて現在完成を目指しています。

近日中にこのショールーム化のテーマでズーム勉強会を開きます。その際はぜひご参加ください。これからのカイゼンの姿を話し合いましょう。


日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫