12月のご挨拶

 あっという間に師走になりました。今年はオリンピック・パラリンピックの年ということでいつもよりずっと元気なスタートを切ったものの、新型コロナウィルスの登場で一気に情勢が変わりました。日本だけでなく世界中が同時に大きな被害を受けるという前代未聞の大事件が、何の前触れもなく、いとも簡単に起きたのですから驚きです。
 そのような大きな変化に直面した今年だからこそ、この師走という今年最後の月の過ごし方は大切だと思います。しっかり振り返って、もうすぐ来る新年が良い年になるよう準備をいたしましょう。

 そこでまずは私の今年一年の振り返りをご披露したいと思います。4月、5月のステイホームにより、コンサルティングの仕事はすべてキャンセルになり収入がゼロになり途方にくれました。一方で膨大な時間が与えられたので、まずは自分の身の回りのカイゼンを短時間ですべて実行することを決めました。それまででしたら、何か始める時は、抜けや間違いがないようにしっかり調べて考えて行動していたのですが、今回はすぐ手を動かし始めました。思い出すままに書くと、まずは部屋の片づけを行いました。出張が多く自宅で仕事をすることがあまりなく半ば物置化していた部屋を仕事場に変えることをしました。現場でのスペース確保や5 Sの指導をしている私であればお手の物!のはずでしたが...結構苦労しました(丸2日かかりました)。次に液晶テレビのチラつきをYouTubeで調べて直し、ついでにAmazonで部品を買ってスマホ画面を大きなテレビ画面で見られるようにしました…などなど、まずはそれまで後回しにしていた身の周りのカイゼン項目を黙々と実行しました。すると不思議なものでこれまでに考えもしなかった新しい時代に合ったカイゼンの仕事のアイデアも生まれてきたのです。それが先月お話ししたカイゼンのYouTubeチャンネルと、遠隔で現場カイゼン指導ができる360度カメラ指導法です。両方とも私には経験も知識もないことでしたが、ここで変われなければ後がないといった強い危機感に押されて何とか両方とも完成させることができました。大袈裟ですが、私は新しい力を手に入れた気持ちになりました。
 現在は徐々にですが現場に足を運ぶこともでき始めているのですが、そこでコロナ前と比べて大きな変化が起きていることに気付きました。カイゼン実行スピードが以前より格段に速くなっているのです。その場でやってしまう量が増えています。私の変化もありますが、何よりも指導先の皆様の変化が大きいのです。指導先の皆様もこの前代未聞の事態を真正面から受け止め、何としても生き残り勝ち進むのだという覚悟が定まったのだと実感しました。
 「カイゼンとは?」、「すぐやること!」と前から言っておりましたが、その私が驚くほど速くなっています。「失敗しないようにしっかり準備する」から「すぐ実行して早めに失敗して一気に修正して、圧倒的に速くゴールに到達する」といういわゆるアジャイル(agile:機敏な)の動きになっています。

 ニュースを見るとコロナは収束に向かうどころか未だ広がりを見せています。
しかしながら、この厳しい状況判断と決断を常に求められた今年を乗り越えた皆様は昨年までとは違った速度感、行動力を獲得されたと感じております。来年のカイゼンには、この「すぐやる!」というスピード感のある実行力をテーマに織り込んではいかがでしょうか。皆様のご活躍を期待しております。

日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫