6.強いモノづくり【急所84】日本が目指すモノづくり

日本の製品が世界を席巻していた時には、「Made in Japan」はとにかく性能が良く壊れないことを示す品質表示であったといえます。

40年も前の話になりますが、私は家族でアメリカに2年間住むことになり、基本的な家財道具を現地でそろえる必要がありました。まず近所の巨大なスーパーマーケットでアメリカブランドのテレビを買ったのですが、一目見て映りがくっきりはっきりしていないなぁ…という印象を持つようなものであり、その上ひと月しないうちに壊れてしまいました。

仕方なく中古の日本製のテレビに買い替えたところ映りは良いし壊れないし、という大きな違いがありました。それ以外にも現地で買う子供服は洗濯機で洗うとすぐにほつれが出てくるけれど、日本から持ってきた子供服は全く問題起きないなど、「やはり日本のモノはいいなあ…」と実感したものでした。そして驚いたことに、現地のアメリカ人の友人なども同様に「日本製のモノは品質が良い」と口をそろえて言っていたのを覚えています。

すなわちその時は壊れないに代表される「機能品質」で評価されて売れていたことが分かります。ところが機能品質というレベルなら世界中のどこでも達成できるようになり、今ではそれが当たり前になっています。供給過剰で価格下落が止まらないデジタル製品はその最たる例でしょう。製品の機能性で戦っているうちは、世界を相手にした価格競争を強いられることになるのです。

中小メーカーがめざすべきことは、スペックや機能といったものを越えて、魅力があるから買うと言われる次のステージのモノづくりに転換していくことでしょう。小さくてもブランドを育てれば魅力で売れるようになるからです。

自分たちが造っている製品をお客様がどう評価してくれているかに着目して魅力品質の向上を行いましょう。

今週の言葉  製品作りから魅力づくりに転換せよ。