6.強いモノづくり【急所73】賢い在庫の持ち方

カウンターのお寿司屋さんでは、板前さんが注文通りに握り寿司やお造りを出してくれます。当たり前ですが、注文を受けてから慌ててご飯を炊き始めたり、着替えて魚河岸に魚を買いに行ったりということはありません。あるいは冷蔵庫から前もって握っておいたお寿司を出すということもありません。お寿司屋さんは注文を受けてからあらかじめ用意してある材料を加工して最終製品にしてジャストインタイムで届けるすごい製造業であるといえます。

それから在庫の持ち方も工夫しておられます。すぐに加工できるようにナマの魚を短冊の状態に準備しています。切り方を変えるだけでお造りにしたり握り寿司にしたり自在に対応できます。もしその日のうちに売れなくても翌日のランチのちらし寿司に使えるでしょう。ご飯も大量に炊いてしまうと鮮度が落ちたり余ってしまったりするので、お客様の様子を見ながらちょうど良く少しずつ頻繁に炊いています。

それだけではありません。さらにカウンター越しにお客様と会話をして、その日のおすすめなどを販売促進をしている板前さんもたくさんいらっしゃいます。それはお客様と楽しく会話して、また来ていただけるようなブランド構築もしているといえると思います。

お客様の注文に対してお待たせすることなく商品を提供する一方で、中間在庫を可能な限り材料に近いところで持てば、モノづくりは強くなります。お寿司屋さんという身近なところにモノづくり改善のヒントがありますね。

今週の言葉  在庫を持つなら川上で。