運搬改善を進めよう(2) 物流工程設計の実行

工場での工程設計は一つの大きなプロジェクトでもありますから、そのプロジェクトの中に物流工程設計というタスクを入れて、物流担当者が効率のよいレイアウト設計を担当するのです。

もし物流工程設計をまとめて実施できる状況になければ、物流についても技術部門の各工程の担当者に見てもらうようにしましょう。

そこで必要となるのが「物流工程設計チェックリスト」なのです。このチェックリストには物流のポイントをいくつか入れておきます。

たとえば運搬改善のためにはつぎのような4点満点の評価項目を入れます。

4点 工程間は直結しており運搬は発生しない
3点 工程間は離れてしまうが5m程度なので手押し台車で対応可能
2点 工程間は離れてしまうが30m未満なのでフォークリフトまたは台車で対応可能
1点 工程間が30m以上または別建屋になってしまう

この場合、工程間運搬にかかるコスト、つまり物流工数や運搬機器の購入などのコストは工程設計時の評価とします。はなはだしく物流コストがかかる工程はその設計を行った技術スタッフの評価となるようにするわけです。

では不幸にして運搬が発生する工程ばかりであったらどうしたらよいのでしょうか。この状態を放置しておくわけにはいきませんので、運搬改善に着手する必要があります。

まず考えるべきポイントとして「レイアウト変更」が挙げられます。レイアウトの基本は直結です。それが不可能であれば近接化します。近接化の目安は15m程度でしょう。これは人手で台車を押しながら運搬できる限界と思われます。

また場合によっては近接化さえしておけば、簡易自動運搬台車で運搬することも可能になります。

レイアウト変更ができずに30mを超えるような運搬が発生する場合の運搬改善には運び方の変更が挙げられます。

1単位あたりの運搬時間を減らすために、複数部品の混載同時運搬が考えられます。物流作業者の効率を考えた運び方を検討します。

また、ものの置き方の改善を行います。一か所で物流作業者が同時に複数の作業ができるようにものの配置を変更するのです。

次回に続きます。