物流BCPについて考える(12) 情報発信と情報共有

災害時には、対策を検討するため、災害対策本部長および幹部社員等が集合する場所が必要になります。
このために本社あるいは支店、支社などの重要な拠点が被災した場合に備え、あらかじめどのような場合にはどこに集合し、どの業務を継続するか決めておくことが求められます。

本社等の重要拠点の機能の確保に関し、事業継続計画を検討する際に十分考慮すべき点を考えてみましょう。
■被災地での業務の再開以外に、非被災地での業務の継続も検討する。例えば、被災地以外の拠点に指揮命令権を移すなどの対応があります。なお、被災地以外に拠点を移すことの検討は必須ではありませんが、その検討をせずに利害関係者の理解が得られるかを慎重に考慮する必要があります。
■遠隔地の文書・電子データ保存サービスの活用を考慮する必要があります。
■時差を考慮する必要があります。日本が休日・深夜であっても海外は営業時間であることもあるため、海外への情報発信が必要になります。
■自治体等の各種制度や防災隣組の機能など、地域の資源を活用する必要があります。

次に対外的な情報発信、情報共有について考えていきましょう。
災害発生後は、取引先、消費者、従業員、株主、市民、自治体などと情報を共有することが重要です。
企業活動が関係者から見えなくなる、何をしているのか全然わからないといった、いわゆるブラックアウトを防ぐための対策を講じる必要があるのです。
そのためにも、関係者との事前の協議が重要であると言えるでしょう。取引先企業やサプライチェーンの発注者への情報提供が必要となることを常に念頭に入れておきましょう。

この情報発信、情報共有に関し次のような点を考慮しておくことが必要だと言えます。
■情報収集・伝達、広報体制の確立
■関係当局、周辺住民、サプライチェーン等の関係者との連絡体制の構築
■通信・情報連絡手段の確保