新・虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第11回

ヨーロッパは通貨も統一されたがまだ不便な面もあります

● ヨーロッパは通貨がユーロに統一されつつあります
 ヨーロッパはEUとなってから特に便利になったのが、通貨の統一です。各国を回る時にカードが使えない商店やレストランもあり、空港などで換金して所持していました。紙幣はそうでもありませんが、硬貨は次第に重くなり財布に入らず小分けしていると探すことが面倒になってきます。釣銭の小銭が貯まるばかりでした。対策として、最後のホテルでチップとしてその国の小銭をすべて寄付しました。
 スイスなど一部の国では、まだ以前の通貨です。しかしユーロによる支払もできるようになり、さらにほとんどがカードでの支払いもできるようになり便利になっています。便利になったのはこの数年で、街のいたるところに小型のATM機が設置されるようになったのです。
 ただし、どこもATM機の機能は紙幣の現金引き出しだけの機能に絞り、店の一角にはめ込むように設置されています。日本のATM機のように、送金や小銭の機能もついていません。普及させるに、ATM機の機能を絞り込んで超小型化そして廉価にしたと考えられます。
 ドイツのATM機では、メーカーにより100ユーロの引き出しに対して、50ユーロが2枚だったり、5、10、20、50ユーロとバラバラで払い出ししてくれるものがあります。払い出しの金額は、ATM機によって決まっています。普通100ユーロ単位ですが、中には70、140ユーロといった中途半端な金額設定もあります。
 紙幣の大きさが統一してないからと考えます。日本は自由に設定でき、小銭も使えるというユーザー本位の高機能のモノづくりの考え方を再確認できます。
 ユーロ紙幣は、5、10、20、50、100、200、500と7種の紙幣があります。500ユーロ札は1度見たことがありますが、とても安っぽくて6万5千円の価値のある紙幣には見えませんでした。偽札も多く出回り、紙幣を読み取り機でチェックされることもあります。硬貨も、1、2、5、10、20、50セントさらに1ユーロ、2ユーロと8種もあります。
 ヨーロッパは、2のつく数字が特徴のようです。日本は、千、二千、5千、一万の4種だけです。日本の特徴として、タテの長さが76mmに統一されており、長さも順に大きくなっています。日本の紙幣の美しさは、格段の差があり精密さも感じ取れます。

● 統一で便利な反面不便なこともあります
 ヨーロッパでのATM機での引き出し単位は、いつも100ユーロにしています。ドイツ鉄道で切符を買ったときに、100ユーロ支払ってお釣りが50ユーロ足りないので、駅員に問いただすと「50ユーロしかあなたは払っていない!」と50ユーロ札をひらひら見せるのです。彼はネコババしたのです。
 また、1等車で財布を忘れたこともありました。その車両には私と通訳しか乗っていませんでした。結局見つかった財布は、紙幣がすべて抜かれた小銭だけの財布でした。車掌に抜き取られたことは明白ですが、文句は言えません。このようなことがあり、現金の所持はいつも100ユーロ以下にしています。
 出張にはなるべく現金は使わないようにし、カードでの支払いにしています。カード読み取り機も調子が悪く読み取りのできないこともあり、予備のカードも持つようにしています。電子機器の信頼性は、日本に比べ低いのが常識です。
 ヨーロッパでは、1970年代からサマータイムが定着していますが、当初の目論見から大きく外れてきており、近年はどの国も廃止の方向に傾いています。このサマータイムは大反対です。急に3月と10月の最終日曜日の午前2時と3時に切り替わりますが、腕時計や目覚まし時計も手動で切り替えなければなりません。テレビも新聞も見ないので、忘れていたことも何度もあり大慌てをしました。
 通訳も切り替えは当たり前のことのようで、知らせてくれません。このムダな切替えに莫大な費用と数億人の手間がかかっているにも関わらず、効果は微々たるものです。朝8時始業を7時に切替えればよいだけのことです。
 この辺の動きは、一歩離れた島国の英国を見えていると何か見えてきます。英国はサマータイムを提案した国ですが、いち早く脱退した国です。またEUに入っていましたが、先に選挙で脱退を決めました。また通貨の統一もせず、重さや長さの単位もポンドやインチなどをまだ使っており、統一しないでいます。ちょっとずる賢い感じがします。

● 政治経済が安定することが通貨の安定に大切です
 ヨーロッパからのコンサルティング料は、ユーロ建てで銀行口座に振り込まれます。レートでその金額は左右されます。現在は1ユーロが130円前後ですが、一時170円だったこともあり、翌年は一気に110円まで下がり、一時期は100円も切ったこともありました。短期間に3割以上の変化があるのが相場の世界です。レートに一喜一憂をしながら振り込みを待っていました。
 大きな変化は、リーマンショック、ギリシャの経済危機などの大きな出来事があると、政治も不安定になり通貨も連動していることが見えて取れます。ゆえにドル、ユーロ、円、さらに株価は関心の的です。
 この10年ほどで地球上の異常気象のように、英国、フランス、イタリアなどの首相がコロコロと変わりました。ドイツはメルケル首相が長く維持していましたが、移民の受け入れ政策で単独政党が組めなくなって、結局2020年に辞めました。今は、ロシアのウクライナ侵攻があり、ますます円安になって物価やエネルギーなど一国や二国の問題ではなく世界もひっくり返るような状況になっています。