虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第47回:見えないが実は、多く使っているというバーチャル・ウォーター(その2)

実際の水もどれくらい使っているか推定してみましょう

 家庭で使っている水は、一般的にトイレ、風呂、炊事、洗濯の順番になっています。一人当たり1ヶ月で、約8立方メートル(200リットルのバスタブで、40回分)も消費しています。ペットボトルの500mlに換算しますと、16,000本分です。1ヶ月の水道の料金は約2000円ですから、水道代1円で4リットルの水が出てきますがとても安いです。コンビニにて1(500㎖)100円で買えば、1ヶ月の水道代は160万円にもなってしまいます。ガソリンは1リットルが現在160円くらいですから、ペットボトルの水よりも安いのです。モノの値段を比較すると頭が混乱してしまいます。
 1965年の当時の水洗トイレの1回の流す水量は、約30リットルでした。その後改良に改良が加えられ、最近のものでは5リットル以下で流せるようになっています。いかに少ない資源を有効利用するにはどうしたらよいかを考え、流水の方向やタイミングなども検討に検討を重ねてきた努力の成果だと思います。
 私たちは想像もしていないほど、1日で多くの水を使っています。水不足が蔓延している海外の乾燥地帯で、喫茶店のカップを洗うのに貯めたバケツの水に軽く濯ぐだけという映像を見ました。日本では、そのような洗い方をすることがわかれば保健所が飛んできて、すぐに営業停止になってしまいます。
 本当に、日本は恵まれていると感じます。でも食料の自給率は、40%ほどですのであとの60%は海外から輸入しています。そのバーチャル・ウォーターの量は、800億リットルともいわれていますが、これは日本中で使っている水量とほぼ同じです。

もったいないと思えば、もっと節制できることがあります

 日本では何気なく水道の蛇口をひねれば、飲める水が豊富に出てきます。でも世界中で安心して水道水が飲めるのは、20カ国もないのです。アジアでは、日本とアラブ首長国連邦の2カ国だけです。ドイツでは、硬水なので水道水をそのままで飲むことはできません。ドイツでは1.5リットルのペットボトルが6本単位で売ってあり、そのミネラル・ウォーターを買って飲み水にしています(約1000円)。スーパーから持ち帰るのに一苦労です。日本では当たり前のことが、海外に出ると当たり前ではないことがわかります。
 日本は、食べ残しが最も多い国といわれています。その量は、1人あたり年間にドラム缶一杯分に相当します。半分以上が家庭の台所から出る生ごみであり、一人ひとりの考え方と行動を変えていくことが大切です。買い物をする時にメモをして余分なものを買わないようにするだけで、廃棄する生ごみは確実に少なくできます。冷蔵庫の中をいつも少なくしておくことで、必要な買い物がすぐにわかります。また冷蔵庫にある材料を使って鍋ものなどにすれば、多くの材料を有効に消費できます。自炊のお蔭で、ほぼ完璧にできるようになりました。
 世界に穀物の消費の半分は、牛や豚などの食肉生産のために使われています。なくすことはできませんが、少しでも抑えることは可能です。まだ世界中には、飢餓で苦しんでいる人たちが何億人もいることを考えると、食事をもっと大切に考えたいと思います。食事の字は、“人を良くする事”と書きます。見えない水のことを考えてみましょう。