虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第34回:一眼レフカメラとデジカメの視点の違い(その2)

デジカメは、両目で画像を見ながら撮影します

 デジカメが本格的に市場に出回り始めて、筆者もフィルムから画像で記録する方法に切り替えたのが2004年頃からです。デジカメの良い点は、映像のプロバティをチェックすればいつ撮影したか、さらに枚数も瞬時に集計もしてくれます。デジカメに切り替えてから便利だったことは、軽いので持ち運びが楽、写真をいくらでも撮れる、その場で再生ができる、パソコンに入力することで画像処理ができ他の人にもすぐに提供できるなどです。
 デジカメに変えてから気づいたのは、撮影する時にカメラから顔を離して画面を見ながら撮影するスタイルに変わったことでした。被写体を狙うというとより、「みんなで一緒に撮りましょう!」というオープンな気持ちで気軽に撮影するようになったことです。また撮られる側も、気楽に被写体となってくれるようになりました。またフィルムと違って、ダメならその場で撮り直しができるようになったことも非常に便利さがあります。
 便利になると、逆なことも生じてきました。撮り直しやいくらでも撮影できるという気軽さから、その場面や瞬間切り取るという真剣さが少し低下してきたことです。改めて便利になったことに感謝しながらも、さらに真剣にその場面や瞬間を頭に焼き付けるようにシャッターを押したいと思います。
 改善事例の写真を撮り始めた2007年から、主な企業の写真の整理をしてみました。その枚数の集計をしてみますと、約1万枚にもなっていました。塵も積もれば山となることを実感したのです。何度も編集し直し取捨選択を繰り返し、またカテゴリー別に仕分け作業もしているお蔭で、ほとんどの事例が頭に入っています。コツコツとやっていくと、このような神様からのプレゼントがあるのかと思いました。


映像として頭に記憶させる訓練をしてみましょう

 初めてデジカメを使って撮影した時は、フロッピーディスクでした。確か8枚撮ったら容量が一杯になり、すぐにパソコンに移し替えてリセットして再度撮影した記憶があります。それでもすぐに、みんなで見ることができ感動していました。
 手元にある最も古いSDメモリーカードを探してみますと、記憶容量は32KBでした。現在使っている容量は、その千倍の32GBです。しかも値段は以前より相当安くもなっています。改めてムーアの法則(半導体の集約密度が、18から24か月で倍増する)を意識することができました。映像があれば、言葉で説明するよりも具体性が明確になり、相手にも伝わりやすくなります。
 しかし私たちの頭の記憶の仕組みは、残念ながら意識をしないことにはドンドン記憶が消されていくようになっています。そのためにも意識をしながら、映像を頭に叩き込むようにする必要があります。それを維持するためのキーワードの7つを、現場観察する時に意識するようにしています。その7つとは、安全、作業姿勢、品質、作業環境、ムダ、技術的問題、組織的問題です。これらを言葉にして発したり、メモに書き出したりしています。
 そうしてこの場面は「安全に問題がありケガをしやすいなあ」、また「これは作業姿勢が悪く疲れやすい作業になっているね」、「この場所には手直し部品が何個もあるぞ」と場面に少しでも自分なりの解説を入れてみます。そうすると、映画の場面と役者の台詞が一体になるように記憶しやすくなり、気づきをもたらします。