虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第31回:視界を広げるために、海外に飛び出してみましょう(その1)

海外に出ることで異次元体験が得られます

 最近まで海外旅行や出張を繰り返していましたが、約20か国、200回以上の渡航回数になります。最初の海外旅行は、25歳の時でした。そのきっかけは、友人からドイツの消印がある絵葉書が届いたことでした。英語もドイツ語もできませんでしたが、3週間の休みを取って以前から憧れていたドイツに行くことを決めました。飛行機の手配からホテルまで、自ら準備をして一人旅に出掛けました。
 シンガポール航空会社を使い、シンガポール空港で乗り換えることになりました。突然全員が飛行機から降ろされてどこに行くのかわからず、“トランジット”(目的地以外に立ち寄ること、外には出られない)があることをその時に初めて知りました。その後パリ経由でフランクフルトに着きましたが、所要時間はなんと28時間でした。
 単独で行動したのでかなり費用は掛かりましたが、それ以上に得るものがありました。当時様子をA4のノートにびっしり日記を書き、チケット、チラシなども貼り付けていましたので、その時のことをありありと思い出すこともできます。
 ガイドブックと翻訳帳を抱えて、鉄道に乗りドイツ各地を回りました。チケットをなくしたり、道に迷ったり、つり銭をくすねられたり、言葉が伝わらず途方に暮れかけたりと多くの失敗がありました。でも困った時にこちらから助けを求めると、ドイツ人は手のひらを返したように親切に問題を一緒に解決しようと試みてくれました。
 ビールが当時120円(現在もほぼ同じ値段です)と安く、しかも美味しかったのでこれも驚きでした。ソーセージも有名ですが、「フランクフルト・ソーセージ」と言ってもまったく反応がなく疑問でした。ドイツでは、「ブルスト」と呼ぶことが後でわかりましたが、指で指して「Das(これ)」と言えばよかったのです。100円ライターがあり買ってみるとなんと180円でした。底を見ると“Made in Japan” とあり、ガックリしたものです。

 

図1. 海外に飛び出すことで逆に日本のことがみえるようになります
図2. 体験は自分の体に染み込みます