虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第16回:トイレ掃除をしても臭いのはなぜ?(その2)

トイレの部屋は六面体なので、床だけの掃除ではだめ

 トイレ掃除を生きがいにしている友人の社長がいますが、彼は朝3時半に起床して会社のトイレを素手で掃除をしていて、合わせて自分の心まで磨いるといいます。便器や床も当然磨きますが、まだ少し臭いが残っていることに気づいたそうです。それは壁にも臭いが付着していることに気づいたそうで、周囲の壁も一緒に清掃をすることで、臭いの元を絶つことができたと話してくれました。
 便器に向かい、戦闘開始の準備をしてから爆弾を投下しても、すぐに水は流しません。すべて爆弾投下してから、「臭いヨシ!色ヨシ!量ヨシ!」と現物を指差し呼称して確認します。そして仕上げに白い落下傘を投下してから、おもむろに水で流してズボンをあげて一連の戦闘の終わりとします。でもその間に臭いの成分や特に男性の場合は放水時の飛散があり、それらも空気中に漂って周囲に不時着しているはずです。
 微量かもしれませんが、毎日毎回繰り返されるので、それなりの効果を発揮してしまい、「無臭だ!」ということにはなりません。実はトイレは狭い立方体の空間だったのです。対象となる便器と床だけを一生懸命に清掃していただけではダメで、あとの周囲の壁に気づかなく清掃の対象になっていなかったのです。
 そのために微量の臭いの成分が付着して、臭いの発生源になっていたのです。すぐに周囲の壁四面を掃除したところ、すっかりと臭わなくなったと喜んでいました。天井は毎日清掃することは難しいのですが、一年に一回でも簡単に拭き取れば問題ないようです。そのことを教えてもらい、風呂も壁の清掃を心掛けるようになりました。かなりの水垢が付着しているものです。石鹸や洗剤の残りカスは、微生物にとっての美味しいご馳走なのでこの点も考えて、清掃してしっかり流してやることです。
 冷蔵庫で一番雑菌の多い個所は、なんとドアの取っ手らしいのです。そういえばいちいち手を洗ってドアを開閉しません。トイレも以外にもドアノブにも多くの雑菌がウヨウヨいて、台所は典型的な雑菌の宝庫です。水洗いのスポンジ、排水口、蛇口といった個所です。つまり余り清掃していない、普段気づかない個所が雑菌の温床となっていたのです。清掃と合わせて殺菌消毒を小まめにやりたいものです。工場ではチェックリストがありますが、家庭でも活用しても良いでしょう。

処置と対策の両面で攻めていく

 臭いがあればそれを打ち消す臭い(匂いは良いにおい、臭いは悪いににおいと区分されています)の芳香剤やそれを吸収してしまう脱臭剤があります。これらはあくまでも処置の分野の対策です。放屁は、一度に万個単位の大腸菌まで大気中に放出するようです。放屁は下着だけでなく、大腸菌で大気汚染をしていたのです。へえ!
便器のフタをそのまま開けていると、大気中に飛散します。使用後は正しくフタをしたいものです。その心掛けが肝心です。使用後きちんとフタをしている人は、わずか1割です。さらにトイレットペーパーを三角折り(米国の消防署の職員がすぐに取り出せるように考案した)をして、次の人のために準備する人もごくわずかです。著者は両方を必ず実行しています。なぜか?家内がうるさいので、習慣になりました。
問題が発見でき、それを課題として取り組みますが、忙しいからと言って往々にして処置だけに留まってしまいがちです。処置はすぐに対応しなければなりませんが、それと同時並行的に根本対策も講じるようにします。少し時間を掛ける、少し考えるだけでも、多くのヒントが生まれて、根本対策になります。やり始めることです。やり続けることです。小さなことの積み重ねが、本質まで変えていくことになります。<