12月のご挨拶

 12月になりました。街はクリスマス飾りでいっぱいです。笑われてしまうかもしれませんが、子供の頃から毎年12月になると私はなぜか毎日ウキウキしています。

先日街で食事をした時、ついていたテレビが国内製造業の売り上げが少しずつ回復していると伝えていました。以前から景気は二極化の傾向があったので一概に回復基調とはいえないと思っておりましたが、全体的に回復しているという言い方だったので、思わず箸を動かす手を止めて注目して見てしまいました。半導体などは一時期の大幅な不足が徐々に解消され、一部では在庫が過剰な状態になりつつあるとの情報も耳にします。報道の通り、全般的に上向きの傾向が出ているとすれば何より嬉しいことです。

コロナの状況も変わりつつあると感じます。欧米の状況を見聞きすると、ゼロコロナ政策の中国は別格としても、日本もまだコロナについては慎重な態度を取っています。まだWHOのパンデミック宣言は解除されていませんが、実感としては、そろそろ緩めていいだろうと言う人が増えているのは納得がいきます。

先月の「11月の言葉」で予告をお伝えいたしましたが、日本カイゼンプロジェクトでは政府の一部の行動制限緩和の方針などを踏まえて、念願であったリアルに対面しての会合を開きました。まだ大規模な会合をするのは早いと考え、まずは関東地方の会員の方々にお声掛けして小規模な食事会を開くこととし、11月24日と30日の2回に分けて東京駅近辺のレストランで食事会を開きました。リアルな場で食事をしながらの会合は楽しく盛り上がり、Zoomのようなオンラインでは得られない対面ならではのいろいろな気づきが生まれました。

例えばAさんから農業のお仕事の話が出たのですが、食材の安定供給と食の安全を満たすのに必要な良い肥料となる堆肥(たいひ)の材料の米ヌカが不足しているということでした。すると全く異業種のお仕事をされているBさんから、ある地域では玄米を精米するときに出るヌカが大量に廃棄されているという情報があり、材料入手方法開拓への道筋検討が生まれました。また精密部品の製作をしておられるCさんが材料特性を生かした商品開発のお話をされたことがきっかけで、今度はAさんがクライアントの方から聞いた情報として、最近の農地の改良には鉄やマグネシウムの廃材が活用され始めているとおっしゃいました。私はそれを聞いて、Cさんの会社で出る廃材の一部の新たな使い道が見つかるかもしれないと思いました。これらはすべて話の流れの中で良い化学反応が起きた事例ですが、普段の仕事の中ではなかなか生まれないモノだと思います。その場のくつろいだ雰囲気や、全員がカイゼンプロジェクトに所属していてカイゼンに努力をしているという信頼感がある経営者による異業種交流という背景がこの流れを生み出したのだと思います。

サプライチェーンは少しずつ回復していますが、まだ万全からは程遠いレベルです。1部品でも足りなければモノを完成できないという時に、それを解消する斬新なアイデアは身内の議論も大切ですが、今回のような異業種間のゆったりした話し合いの中からよりユニークなモノが生まれるのではないかと思った次第です。来年はこの食事会を関西と東北で開催したいと思っております。

12月は師走であり何かと気ぜわしい月でありますが、来年に向けてアイデアを練って新年のスタートの準備をする月でもあります。ウェブとリアルの両方の強みをふんだんに取り入れて、多様性のある人たちと自由闊達な意見交換をして素晴らしいアイデアを出しましょう!


日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫