5.設備を改善する基本 【急所60】モノの動かし方

 私は「からくり」のカイゼンが大好きです。センサーとモーターを使っての自動化など、もちろんカイゼンには欠かせませんが、目の前でシンプルな構造で動く「からくり」カイゼンを見るとやはり心が躍ります。

そういう目で見た時に、からくりとはいえないかもしれませんが、重力を使った移動のカイゼンを見つけると興奮してしまいます。

わずか500グラムのモノであっても、一日中繰り返して持ち上げたり降ろしたりすると大変な労力になります。一方、1トンの重さがあっても、レールの上を台車で滑らせれば軽々と動かすことができます。

自然の摂理で分かっているはずのことでも、わざわざ持って運んだり、上げ下ろしに労力を使っている工場は大変に多いのです。フォークリフトなど機械を使っているところも多いのですが、工場内の運搬とは前工程から後工程への横移動なのですから基本的に滑らせることだといえます。高さを揃えて滑らせることができればいいのです。

さらに言えば、傾斜があればモノは何もしないでも動きます。後工程に渡すときに傾斜があれば動力を使わないでタダで運べます。傾斜が無くても、コンベアなどを使えば軽い力で移動させることが可能です。

モノを運ぶという作業は、いったん持ち上げてから運ぶのであれば大変な作業です。工場の中にある作業で一番疲れる大変な作業かもしれません。しかしいくらたくさん運んでも一円も付加価値は増えないのですから、極力、人手や動力を使わないことを考えましょう。

今週の言葉  モノを持って運ばない。移動させるのに動力を使わない。