虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第1回:ないから逆に何でも考えられる(その2)

サルとヒトの違いは体毛のあるなしの差です

ヒトはサルから進化した動物だということですが、遺伝子の違いはたったの1%だといわれています。
外見的にはどこが違うかといえば、まず尻尾のありなしです。
さらに手の構造も少し違います。

サルは木の上で生活をするので、枝を掴むために便利なように親指を除いた4本の指はほぼ同じ長さと太さを有しています。
その指の構成ゆえに工具を使う器用さがないかもしれません。
もう一つ決定的に違うのが、体毛のありなしです。
一部の男性ホルモンの旺盛な男性には毛むくじゃらの方もいますが、どういうわけかヒトにはサルのような毛むくじゃらの体毛がありません。
体毛がないので薄い肌だけでは、体温がそのまま外気にさらされると特に寒くなると冷えてしまいますし、外敵から身を守るにも危険が多すぎます。
そこでヒトは火を使うことで暖をとり、さらに火を使って今まで生で食べていた肉や野菜を焼く、煮る、炙るといった画期的な方法で料理することを覚えたのです。
一気に食生活も変わりましたが、火を使うことで素焼きの土器を作り、さらに金属を溶かして青銅や鉄を生み出して、武器に変えていきました。
この武器を持つことでさらに大きな獲物や収穫物を獲得するようになったのです。

さらに生活用品や農工具も次々と生み出してきたのです。
手を使うことで、脳がさらに発達し言語や文字も使うようになったのです。
体毛がなかったお蔭で、毛皮や植物の繊維を身にまとうことも編み出して、衣服や袋やカバンなども作り出し、行動範囲を一気に広げることもできました。ヒトに体毛がないというわずかな違いが、ハンディを大きなチャンスに変えてしまったのです。

ないからこそ新しい発想ができます

何かやろうとすると、すぐに言い訳が出るものです。
時間がないというのが最も多いのですが、時間はだれでも1日24時間提供されています。
ただその使い方だけが違うだけで、その使い方が下手であり、何もしない時間を燃やしているだけで、実は使い方は無限にあることも忘れているだけなのです。


忙しい人に仕事は任せろといわれますが、その人たちは多くの仕事をテキパキと捌いています。
即断即決ができるのは、普段から現地現物で現場を実際に見て自分なりの座標軸を持っているからでしょう。
時間は有限だと知っているからこそ、その使い方に真剣になれば優先順位、また他人に任せるべきか自分でやるべきかなどテキパキと決断できるのです。 

多くの人に「あなたにとって一番大切なものを2つ上げてください」と質問すると、家族、健康、お金というすぐに見える答えが返ってきますが、その前提となる「時間」と「命」というのは当たり前すぎて皆さんが気づきません。
セミが成虫になって地面から飛び出す時間はわずか1週間です。
子孫を残すことにオスのセミは体一杯使って大声で鳴きメスの気を引こうとします。懸命な姿ですが、時間が限られていることを本能的に知っているからこそ精一杯鳴いているのでしょう。

時間もない、金もないというのは、逆に知恵や持っている資産をもっと有効に使うことを示唆していると考えてはどうでしょうか。
私たちの潜在能力は実は無限にあります。
ただし生きている間しか使うことができません。

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