
Q7. 動作改善は「今から動きを変える方が難しい」と現場に言われ、なかなか進みません。こういった場合どのように指導すればよろしいでしょうか?
A7. この質問は非常によく受けます。結論から言うと、「難しい」という現場の声は間違いではありません。動作改善は、これまで身についた動きを変えることですから、最初は必ずやりにくくなります。したがって、指導する側が「すぐにできるはずだ」と考えてしまうと、現場との間にズレが生まれてしまいます。
まず大切なのは、動作経済の4原則に則って、あるべき動作を一緒に考えることです。なぜその動きが良いのか、どこにムダがあるのかを、現場の人と同じ目線で確認していきます。ここを共有しないまま「こうやれ」と指示しても、なかなか定着しません。
そのうえで必要なのは、一緒に練習することです。動作改善は知識ではなく、身体で覚えるものです。最初は遅くなっても構いません。「時間はかかるものだ」と最初から腹を決めて取り組むことが重要です。
できるようになってきたら、その進歩をしっかり認めて誉めることです。少しでも良くなった点を認めることで、「やればできる」という実感が生まれ、次の改善への意欲につながります。逆に、できていない点ばかりを指摘すると、意欲が続かず、現場は元のやり方に戻ってしまいます。
また、すぐに諦めないことも重要です。動作改善は一度や二度の練習で身につくものではありません。繰り返し行うことで、初めて自然な動きとして定着していきます。
なお、安全面については特に注意が必要です。例えば溶接作業における保護面の着用などは、やりにくいからといって省略することはできません。安全は絶対条件であり、「できるようになるまで練習する」対象です。ここは厳しく守る必要があります。
基本的にはこのような進め方ですが、もう一つ考えておきたい場面があります。例えば、熟練した作業者が、会社の標準動作とは違うやり方をしているものの、品質・安全上の問題がなく、しかも速くて正確という場合です。このようなとき、無理に標準に合わせるべきかどうか迷うことがあります。
私の考えは、「その人の作業も標準として認める」というものです。その人にしかできないやり方であれば他の人に無理にその方法を勧める必要はありませんが、結果として生産性が高いのであれば、そのやり方も一つの標準として整理し、そのまま実行してもらう方が現実的です。
まとめますと、動作改善を進めるためには、「あるべき動作を一緒に考える」「一緒に練習する」「時間がかかることを前提にする」「できたことを認めて誉める」「諦めずに続ける」という進め方が大切です。動作改善は、無理に変えさせるものではなく、できるようになるまで寄り添うものです。また、現場の実力によっては柔軟に標準を見直す視点も必要になります。この積み重ねが、確実に現場の力を高めていきます。