
Q4. 繁忙期などはどうしても現場が散乱しています。そういった時期でも現場を可能な限りすっきりさせたいのですが可能でしょうか?
A4. 可能です。ただし「忙しいのに片付く」という状態は、気合いや根性で作るものではなく、作り方と置き方のルールを変えることで実現します。繁忙期に散乱するのは、人がだらしないからではありません。流れる量が増え、置き場が決まっていないモノが一時的にあふれるからです。ですから、繁忙期でもすっきりさせるためには、「すぐ使わないモノや中間品が滞留しない仕組み」と「増えた分を受け止める臨時置場」を、あらかじめ用意しておくことがポイントになります。
まず、やることは、身の回りにいつの間にか溜まっている「すぐ使わないモノ」を特定して、退けることです。もし不要なモノがあれば廃棄し、次に原材料であれば材料置き場の該当場所に、部品であれば部品置き場の所定位置に、先入先出しができるように戻します。専用治具や道具も同様で、使い終わったら戻す場所が曖昧なものは、いつの間にか作業台や通路に居場所を作ってしまいます。繁忙期ほど「あとで戻そう」が増えるので、逆に「置き場を決めて戻す」を徹底しないと、散乱は一気に加速します。もし「明日また使うから戻したくない」という場合は、例外として置いて構いません。ただし、誰が見てもそれと分かるように札や表示で見える化し、置く場所も決めておくことです。曖昧なまま置くと、散乱の原因になります。
次に、仕事の一区切りが付いたら、その都度、必ず材料、半完成品、専用の道具をそれぞれの置き場に戻すようにしてください。ここで大切なのは、片付けを「時間があるときにまとめてやる作業」にしないことです。まとめて片付けようとすると、繁忙期にはその時間は全くありません。一区切りごとの小さな戻しを標準にしてしまうことで、片付けは特別な作業ではなく、通常の工程の一部になります。
工程間のモノの運搬は後工程引取り式にして、工程内に中間品の在庫がたまらないようにします。前工程が作ったものを「とりあえず後工程に運ぶ」と、中間品が床や台車の上に停滞し、いつの間にか置き場いっぱいになってしまいます。後工程が必要なときに必要な分だけ引き取る形に変え、前工程は置き場所が空いている時だけ生産するようにすると、停滞する中間品が減り、同時に「どこまで進んでいるか」「何が詰まっているか」も見えやすくなります。結果として、散乱の原因そのものが減っていきます。
こうしたやり方に変えることで、これまでの作り方と比べて停滞する中間品や道具が減り、現場が散乱する状況はかなりカイゼンします。ただし、繁忙期は流れる量そのものが増えますから、それに伴って一時的な滞留がゼロにはなりません。流れる量が増えれば、どうしても「一時置き」や「詰まり」が発生しがちです。そこで最後に必要なのが、臨時のモノを受け止める「逃がし場所」を、あらかじめ決めておくことです。
最初に整理整頓をして場所を生み出したなら、その空いたスペースを臨時置場として設定し、ルールを決めて使います。例えば、ボトルネック工程の前後だけは必要最小限の在庫を置けるようにし、それ以外の工程には中間品をためない、という決め方が有効です。臨時置場に置いてよいもの、置ける量、置いてよい時間、表示の仕方まで決めておけば、「とりあえずここに置く」が「決められた範囲に一時的に置く」に変わります。これだけで、繁忙期でも通路が塞がらず、探し物が減り、作業者が安全に動ける現場に近づきます。
まとめますと、繁忙期でも現場を可能な限りすっきりさせることは可能です。ポイントは、すぐ使わないモノを退けて所定の置き場に戻すこと、一区切りごとに材料・半完成品・道具を必ず戻すこと、工程間を後工程引取り式にして中間品をためないこと、そしてそれでも増える分は、最初に作った空き場所を「臨時置場」としてルール付きで使うことです。忙しい時期ほど、片づけは気合いではなく仕組みで回す。ここを押さえると、繁忙期でも現場は驚くほど落ち着きます。