脱力・カイゼントーク 第119回

カイゼンと経営の関係を考える 7 パートタイマーの雇用を“戦力化”する

前回に引き続き、人材育成をテーマにカイゼンと経営の関係を考えてみたいと思います。

人手不足が続くいま、パートタイマーの活用は企業にとって欠かせません。家庭や育児あるいは年収などの制約があるゆえに「使いにくい」と見られがちですが、制約があるからこそ工夫して戦力に変える——これがカイゼンの基本姿勢です。私は「パートタイマーをどう使うか」ではなく、「パートタイマーが働きやすい仕事のやり方に職場をどう変えるか」という発想が必要だと考えています。

そこで、中でも制約条件が多いと思われる幼稚園や保育園の送り迎えがあるお母さん方の力をどう活かすかをテーマに、カイゼンを考えてみることにしました。

まずは時間の工夫です。幼稚園・保育園の送り迎えに合わせ、たとえば9時30分〜14時30分の短いシフトを基本にし、行事のある日は午前のみ、あるいは午後のみの勤務も選べるようにします。これを、フルタイム勤務者と混在で回す前提ですが、この生産計画の作成は「言うは易く、行うは難し」の典型的な課題でした。ところが、先日の工場見学で伺ったT社様では、大人数のパートさんのシフト希望をスマホで提出してもらい、それをGoogleフォームで集計することで、以前は丸一日かかっていたシフト表の作成作業を約2時間で、しかも以前より精度の高い表に仕上げていました。デジタルの活用により、働く人の都合と現場の生産性を両立できる好事例です。

次に、仕事の工夫です。仕事のやり方そのものを個人単位で完結できるように編成します。たとえば、組み立てではライン生産ではなくセル生産にするなどです。この個人完結のやり方は、引継ぎや待ちのムダを減らし、管理の煩雑さも取り除いてくれます。訓練には時間がかかりますが、会社としてこの考え方を積極的に取り入れていただきたいと思います。また、作業者は「自分の仕事がここまで終わった」と達成感を持てるようになります。

ここで忘れてはならないのが、人手不足は作業者だけでなく管理監督者にも及んでいるという現実です。新人のパートタイマーに仕事をきちんと教える人が不足している場面をよく見かけます。そこで有効なのが、過去にそこの会社で働いた経験があり、事情により退職した方を「パートタイムの管理者」として再雇用する方法です。必ずしも通常シフトに入ってもらう必要はなく、標準作業の更新や初日の指導、品質確認の立会いなど“必要なタイミング”に合わせて出勤時間を調整します。時給は一般のパートタイマーより高めに設定し、役割と責任に見合う待遇を用意します。今後を見据えるなら、パートタイマーを作業者に限定して捉えるのではなく、管理業務の一部(教育・段取り支援・品質確認・シフト調整など)を部分的に担ってもらう雇用形態も選択肢に入れてよいと考えます。現場の“教える力”を底上げすることが、短時間戦力の安定稼働に直結します。

安全教育や情報共有も同様に重視します。たとえ1日数時間の勤務でも、その日の注意点を確認し、終業前にセルフチェックで汚れ・余り・未完了をゼロにします。こうした必要最低限のルールを共有するだけで、職場全体の一体感が高まります。狙いは「即戦力化」よりも、「継続して戦力であり続ける」ことです。

パートタイマーをうまく活用できた職場は、繁閑の波に強くなり、生産できなかったり手待ちが出たりのロスがなくなります。採用の面でも「働きやすい職場」として選ばれるようになります。セル生産的な個人完結、見える化された柔軟な運用、管理人財の再登用と部分的な管理業務の付与、そして安全・教育・評価の仕組み——これらを一体でカイゼンしていけば、パートタイマー雇用が持つ制約は弱みではなくなり、経営をよくする強力な手段となります。