
8月になりました。
ここ最近の夏は、もはや30度以上の「真夏日」では驚かなくなりました。35度以上の猛暑日が普通で、40度を超える酷暑日も時折現れるようになっています。これまで「夏バテ知らず」で過ごしてきた私も、近年はさすがに身体が重く感じることがあります。暑さは体力だけでなく、集中力や判断力にも影響を与え、仕事にも響きますね。
8月9日号の日経ビジネスには、「戦略的休養のススメ」という特集が組まれていました。働き方改革や健康経営といったことが徐々に広がり、「休むことの価値」がようやく普通に語られるようになってきたと感じます。けれども、中小規模の製造業では、そう簡単にいかないところも少なくありません。なぜなら、お客様の要求が止まらなければ、自分たちも生産を止められないからです。
とくにBtoBで取引する中小の製造業では、大手のお客様が稼働を続ける限り、自社の都合で休むわけにはいきません。「8月中も通常通り納品をお願いします」「お盆明けすぐに在庫をそろえてください」といった依頼に応えるため、現場は休みを削ってでも対応せざるを得ない状況があるからです。
さらに、人員に余裕がない現場では「交代で休む」ことすら難しく、結局のところ「夏でも短くしか休めない」「別の時期に長く休むのも難しい」という厳しさを抱えることになります。こうした事情から、「休みたくても休めない」現場が多いのが実情です。
とはいえ、そうした状況に悩みながらも、工夫を重ねて一歩を踏み出している会社もあります。たとえば、お盆休みの一斉取得が難しい中で、お盆期間を避けて8月中に休暇を分散し、全員が一週間の休みを交代で取れるようにした会社もありました。社員からは「やはりまとめて休むことで本当のリフレッシュになる」「お盆を外したことで混雑を避けられ、かえって良かった」といった反響もあったそうです。
私たちはつい「納期が最優先」と考えがちです。しかし、無理に動かし続けて人が疲れ、ミスが増えれば、本末転倒です。「戦略的休養」とは、経営や生産の流れの中に積極的に休みを組み込む考え方です。これは製造業にも大いに必要な視点ではないでしょうか。
だからこそ私は、「休めない現場」の実情をそのままにせず、カイゼンの視点でとらえ直す必要があると考えています。もちろん「生産を止める」には準備が必要で、簡単ではありません。急な日程変更に対応できるための段取り時間短縮、設備稼働率を上げるためのチョコ停の撲滅、予想精度を上げるデータの蓄積、そしてお客様との丁寧な調整――これらが積み重なって、初めて「止めても回る」現場が実現します。これはまさに現場カイゼンそのものです。
人手不足が騒がれている今、休暇の取り方や労働条件が悪ければ、働き手は集まりません。待遇だけではなく、「この現場でならちゃんと休める」「人として尊重されている」と感じられるかどうかが、採用や定着に直結する時代だからです。
では実際に「どうすればいいのか?」という具体策が思い浮かばず、困っている会員の方も多いのではないでしょうか。これまで特に対策しなくても何とかなってきた仕組みが、通用しなくなる。そんな突然の変化が、あちこちで同時に起きているのが今の時代です。
日本カイゼンプロジェクトでも、こうした現場の悩みを率直に話し合うための企画を立てています。「休みが取れない現場」をどう変えていけるのか――皆様の実情や取り組みを共有しながら、具体的な解決のヒントを探っていけたらと考えています。その節はぜひ、奮ってご参加ください。
日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫