
新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
ここ数年、私たちは人手不足や物価上昇、サプライチェーンの劣化、デジタル化やDX化といった大きな変化の中で、何に取り組むべきか、どの方向に進むべきかを繰り返し考えてきました。生産性と付加価値を高め、新しい技術にも挑戦しながら、継続的に賃金を上げていく。その方向性そのものは、多くの方が共有できているのではないかと思います。
一方で、必ずしも思うような成果に結びついていなかった部分もあったのではないでしょうか。
仕事をしていると、問題は必ず起こります。材料が入らない。生産が計画どおりに進まない。品質でつまずく。人が定着しない。その結果、利益が上がらない。こうした状況に直面すると、私たちは「なぜ起きたのか」「どこに原因があるのか」「誰が悪いのか」と、まず原因を探します。もちろん、原因を明らかにすることは大切です。ただ、その前に一度立ち止まり、自分たちの仕事に対する心構えを問い直すことも必要ではないでしょうか。
「私たちは、その仕事に対して本当に積極的だっただろうか?」
私が好きな哲学者の中村天風は、問題が起きたとき、人はまず原因追及を始めるが、その前に「自分が積極的であったかどうか」を確認すべきだ、という趣旨のことを語っています。私はこの言葉が、現場のカイゼンにもそのまま当てはまると思っています。
この問いは、経営者の立場で考えると、さらに具体的になります。「果たして自分は積極的だっただろうか?」「経営者として、部下が積極的に仕事に取り組めるような関わり方ができていただろうか?」
• 自身がテーマに正面から向き合っていたか
• 社員が積極的になれるよう、十分に思いや期待を伝えていたか
• 社員が積極的に取り組める環境を、用意してあげられていたか
• 仕事を任せたあと、任せっきりになっていなかったか
また、積極的にできていたのかとは逆に、やる前から「できない理由」を並べていなかったか。最初の壁にぶつかっただけで、「やっぱり無理だ」と諦めていなかったか。忙しい、時間がない、人がいない、予算がない。確かに条件は厳しいかもしれません。しかし、できない理由を先に口にしてしまうと、現場の空気は止まってしまいます。だからこそ、まずは「どうしたら一歩でも前に進めるか」と問い直すことが大切です。その問いを持ち続けられる積極的な心こそが、カイゼンの出発点になるのだと思います。
カイゼンとは、現場で現物を前にしてワイワイと本音を出し合い、アイデアを出して、すぐにやってみる活動です。道具や技術を整えても、使う人の姿勢が受け身であれば成果は限られます。反対に、それらが完璧でなくても「何とかして良くしよう!」と積極的に考える現場からは、思いがけない工夫や知恵が生まれます。
協働ロボットやAIなどのデジタル技術も、単に「入れるか、入れないか」の話ではありません。どう使い、どんな未来を描くのか。その根底にあるのは、やはり人の姿勢です。積極的に関わり、学び、使いこなそうとするのか。それとも後回しにするのか。その差は、時間とともに確実に表れてきます。
2026年は、環境や条件に振り回される年ではなく、自分たちの姿勢を整え、前向きに行動する年にしたいと思います。問題が起きたときこそ、「まず自分たちは積極的か?」と問い直す。その積み重ねが、カイゼンを本物にし、企業の力を底上げしていくと信じています。
新しい年が、皆さまにとって気づきと前進の多い一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。本年もご一緒に、一歩ずつ歩んで参りましょう!
日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫