
7月になりました。
毎日、危険を感じるような強い日差しが続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?お互い、水分・塩分をしっかり補給しながら体調管理を心がけましょう。
さて、7月は日本カイゼンプロジェクトの新年度が始まる月です。この節目にあたり、私がこの会を立ち上げたきっかけの1つをお話ししたいと思います。
カイゼンは、そもそも現場から必然または自然に生まれるものです。現場で対応が必要となった時や、働く人たちの気づきや工夫、そしてその積み重ねがカイゼンにつながります。私のコンサルタントとしての経験から、同じ課題でも会社によって対応はさまざまで、多様な工夫があることを知っています。そうしたとき、もし複数の会社の関係者が集まり、率直に意見交換ができれば、より良いカイゼンのアイデアが生まれるはずだと思っていました。
しかし、実際には、現場の課題は多くが社内事情と結びついているため、他社にはなかなか相談しにくいのが現実です。「同じようなことで悩んでいる会社は他にもあるはず」と思っても、気軽に尋ねられる場がないのです。
私自身はそれまでも、数多くの相談を受け、アドバイスをしたり、指導先の企業をご紹介するなどして、お役に立てたことが多々ありました。新しいことに取り組むときには、不安や迷いがつきものです。何から始めればいいか分からず、試行錯誤することもあるでしょう。そんなとき、すでに経験を積んだ方の話を聞くことができれば、大きなヒントや安心につながります。このことを、私は現場で何度も実感してきました。これらは、たまたま私がその場にいたからこそ生まれたご縁でもありますが、そうした偶然に頼らず、日常的に相談し合える場があったらどんなに良いだろうと思うようになりました。それが、日本カイゼンプロジェクト設立のきっかけとなりました。
実際、当会の相談窓口を通じて、いくつか成果が生まれています。
あるとき、会員のA社はこれまで一部のベテラン社員が担っていた新商品開発を各工場の若手技術員によるプロジェクト体制に移行したいと考えたのですが、ノウハウが不足していたため、思うような進捗ができず困っていました。その時、日本カイゼンプロジェクトが開いた新製品開発の講習会に参加したところからプロジェクト運営のヒントを得ることができ、さらにその後講師から直接に指導を受けることで社内体制を作るに至りました。
また、会員のC社が新しい営業管理システムを導入しようとしたときも、同様の流れがありました。C社のシステム部門はそのシステムの多機能性に惹かれ、「導入すれば会社の力が上がる」と期待していました。しかし、私は、それ以前に類似のシステムを導入し、試行錯誤の末に成功させたD社のことを思い出しました。そんなに簡単な話ではないと思い、D社をご紹介しました。
D社の担当者は、「システムのスペックがどれほど良くても、それを使う人がその必要性を理解し、前向きに取り組まなければ、絵に描いた餅になる」と率直に助言しました。C社の皆さんはこの言葉に大きな衝撃を受け、自社に欠けていた視点に気づきました。その後、社内への説明や教育に力を入れた結果、導入は大成功に終わりました。
このやり取りは、D社にとっても大きな意味がありました。自社の経験を第三者に伝えることで、過去の課題や取り組みを整理でき、それをマニュアル化することで今後にも活かせる形となりました。「自分たちの経験が他社の役に立った」という実感は、社員の自信とやりがいにもつながったと聞いています。つまり、相談を受ける側にもメリットがあるのです。
「横のつながりを築く架け橋になりたい」というのが、私たちが目指していることの1つです。カイゼンの勉強だけでなく、「この人と話してみたい」「同じ悩みを持つ会社の事例を聞きたい」といった声も大歓迎です。日本カイゼンプロジェクトは、現場カイゼンのノウハウを共有するだけでなく、企業同士が知恵や経験を持ち寄り、互いに支え合う相互支援の場として機能しています。人と人、会社と会社がつながることで、日々の相談が多くの学びと気付きへと変わっていくのです。
だからこそ会員の皆様には、現場カイゼンに限らず、採用や教育、外国人受け入れ、デジタル導入など、あらゆるテーマでこの会を活用していただきたいと願っています。相談することで見えることがあり、つながることで生まれる力があります。
今年度も、どうぞよろしくお願いいたします。
日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫