5.設備を改善する基本 【急所55】製造情報の扱い方


工場の現場では、ホワイトボードに生産計画が書かれていたり、工程ごとに指示書が貼られていたりします。しかしそれが現場のみの活動なのか、データサポートの援助があっての活動であるのかで大きな違いが出ます。

前に作ったことがある製品なのに、まるで初めての作業のようにもたついたりするならデータベース化されていないからだということになります。担当者が「頭の中にすべて記憶しています」というのは無理だと思います。材料や部品、作業方法まで含めて、製造に関する情報をデータ化していなければ、毎回、経験と勘によるあやふやなモノづくりになってしまいます。そして再注文を頂いた時に時間がかかるだけでなく、前と同じでないモノができてしまうこともあり得ます。

K社で実行された改善をご紹介します。K社のFさんとおっしゃる女性設計技師が、ある日の改善会でご自身がやっている気の利いた改善を発表しました。彼女はいろいろなお客様から来た仕事を製造部門の担当者に割り振る仕事もしていたのですが、その時に以前に実行したよく似た仕事があった場合、その時の図面や実行した仕事のやり方の記録をコピーして添付したところ、とても喜ばれたという改善でした。

それを聞いた社長はすぐに反応し、「その仕事のやり方をこれからの標準にしていこう!」とその場にいた全員に指示し、短時間のうちに仕組化しました。P社には1,000社以上もお客様がいて一品受注なのですが、この仕組みを作ったことであたかも繰り返し生産であるかのようなモノづくりになり生産性を大きく向上させました。

モノの流れを追求するのと同様に、注文が入ったらデータベースから作る量と納期、部材、作り方…などが関係者に滞りなく伝達されるようにできたらいいですね。特に外部と連携を図るためにはデータベース化が重要と考えます。

今週の言葉  製造情報は、データベース化して流れるようにせよ。