
Q19. 整理整頓のようなカイゼンはイメージがつきやすいのですが、悪い点を良くする場合の「悪い」とは誰が決めるのでしょうか?
A19. 整理整頓は、環境整備という一般的なカイゼンの側面と、その活動を通じて目に見えない問題を発見し、その状態を参加者で共有するという問題発見の側面があると思っています。これはカイゼンのイメージがつきやすいですね。
それに比べると、「悪い点を良くする」という表現は少しイメージしにくく、「一体誰が悪いと決めるのか?」という疑問が湧くのももっともだと思います。今回はその点について考えてみましょう。実は「悪い」にもいくつかの種類があるのです。
まず一つ目は、品質不良が発生している、事故が起きている、お客様に迷惑をかけているといった、本来起きてはいけないことが起きている場合です。このような場合は、誰が決めるというよりも、ほとんどの人が「これは悪い状態だ」と判断できます。まずは応急処置で被害の拡大を防ぎ、その後、恒久対策につなげていくことになります。
二つ目は、目標に対して未達成である場合です。例えば、生産性を10%向上させる目標を立てたのに5%しか向上していない、納期遵守率98%を目指したのに95%だった、といったケースです。この場合の「悪い」とは、絶対的に悪いという意味ではなく、「目標に対して未達である」という意味になります。この判断基準を決めるのは、通常は工場長や部門長など、その目標達成に責任を持つ人です。
そして三つ目は、「今は可もなく不可もない状態だが、もっと良くできる」という場合です。例えば、不良もなく納期も守れている。しかし、作業者は毎日重いものを持ち上げている、赤字というほどではないが在庫が多い、といったような状態です。誰も困っていないように見えても、より良い方法があるのであれば、それもカイゼンの対象になります。
つまり、カイゼンにおける「悪い」とは、単に欠点という意味ではありません。
・本来あってはいけない問題が起きている
・目標に達していない
・もっと良くできる余地がある
この3つが、「悪い」と言われ、カイゼンの対象となる状態です。
結局のところ、「悪い」とは社長や上司が決めるだけのものではありません。会社や職場が目指している「あるべき姿」に対して、まだ届いていない状態を「カイゼンすべき状態」と考えるのです。ですから、「誰が悪いと決めるのか?」というよりも、「私たちはどのような姿を目指しているのか?」を明確にすることの方が大切です。社長は売り上げや利益、生産全体の「悪い」を見ます。上司は生産効率や納期順守の「悪い」を見ます。そして作業者は労働環境や今日の作業の中にあった、やりにくさなどの「悪い」を見ています。これらのすべての「悪い」がカイゼンの対象ということです。