
Q16. 以前別の方が出したカイゼン案が機能していないように感じます。この場合は再カイゼンを提案してもよろしいでしょうか?
A16. 前回のテーマの延長線上の質問ですね。前回は、以前の工程カイゼンで導入した作業台が今は邪魔になっている、という目に見えるカイゼンの話でした。今回のカイゼンは、もう少し幅広い内容だと思います。
カイゼンといっても、モノを作るだけではありません。ルールを作る、教育訓練をする、工程を設計する、生産管理のやり方を変える、デジタル化する、自動化するなど、さまざまな形があります。したがって、以前は良いと思って実行したカイゼンでも、時間が経って条件が変わったり、仕事の流れが変わったり、人が変わったりすれば、うまく機能しなくなることは十分にあります。
その場合、再カイゼンを提案することは、もちろん良いことです。ただし、大切なのは「機能していない」という感覚だけで判断せず、「当時は何が目的だったのか」「今はどこが合わなくなっているのか」などを整理することです。
例えば、以前は品種が少なかったのでうまく回っていたルールが、多品種化によって逆にやりにくくなっている場合があります。あるいは、人員構成や設備配置が変わり、以前のやり方ではムダが増えてしまうこともあります。つまり、「以前のカイゼンが悪かった」のではなく、「前提条件が変わった」ので再改善を検討する時期になったということです。
ただし、再カイゼンを提案する時には、「これがダメです」という言い方ではなく、「今の現場に合わせると、こう変えた方がもっと良くなるのではないでしょうか?」という形で話を進める方が、現場としても前回その改善をした人にも受け入れやすくなりますので配慮は必要です。
もし、可能であれば最初に提案した人や、その運用に関わっている人も巻き込んで議論することをお勧めします。実際にやってきた人には、作った時の背景や苦労、当時の問題意識があります。それを聞かずに変更すると、同じ失敗を繰り返すこともあります。逆に、一緒に話し合うことで、「確かに今は変えた方が良いですね」という前向きな再カイゼンになることも多いのです。
カイゼンとは、一度決めたものを守り続けることではなく、現場の変化に合わせて見直し続けることです。むしろ、「以前のやり方が今の現場に合っているか?」を定期的に見直せる現場の方が、変化に強い現場だと思います。
そして最後に大切なのは、「見えている不安点をなくすこと」ですので、今していることが本当に最適かどうかを疑ってみる視点です。現場は少しずつ変化しています。だからこそ、再カイゼンは失敗の修正ではなく、「今の現場に合わせて進化させる活動」と考えることが大切なのです。