2024年、ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に「ふてほど」が選ばれました。「ふてほど」は、阿部サダヲさんが昭和生まれの主人公を演じたテレビドラマ「不適切にもほどがある!」の略語です。このドラマでは、昭和世代と現代の若者世代の間にあるギャップが取り上げられており、私(昭和26年生まれ)も「自分では気づいていないことが多いのだろうな」と考えさせられました。
実際に、カイゼン会の場で世代間ギャップに注目してみたところ、それまで気づかなかったことが見えてきました。たとえば、多くの若者はスマホやデジタルツールを直感的に使いこなし、昭和世代のようにデジタルに対する抵抗感がないこと、あるいは、仕事とプライベートのバランスに敏感であり、私の世代が持つ長時間労働に対する評価はなく、むしろ効率重視であることなどです。これらは一般的な知識として知っていましたが、現場で実際の人を通じて目の当たりにすると、それらのギャップの存在がクリアになりました。
そんな中、私が仕事で信頼している知人から、若い人財の発掘方法に関する興味深い話を聞きました。あるアルバイトの現場で、40代の監督者K氏が若手人財を見出す新しい方法を実行しているというのです。
K氏の現場では、日雇いで参加する不慣れなアルバイトもおり、中には動きが遅い人たちがいたそうです。知人は、K氏が個々のアルバイトに対して給料分は働いてもらおうと厳しく指導すると思っていたのですが、実際には、静かに的確なアドバイスを与えていました。その結果、動きの遅かった人たちも徐々にスムーズに働けるようになりました。一方で、相変わらず期待に応えられない人もいましたが、その人たちを叱るということはなかったそうです。
知人が「なぜ叱らないのですか?」と尋ねると、K氏から「叱られて動く人ではなく、自ら考え行動できる人を見つけたいのです。日雇いの人を強く叱ってしまうと、悪い噂を立てられることもありますし、次のステップとして私が求める人財(日雇いバイト→アルバイト→契約社員→社員)を見つけられなくなります」という答が返って来ました。K氏は、こうして見つけた人財を確保し、今後の業務で活躍できるように育て、ある程度の額の給料を提示した上でやる気のある人財を採用し、会社の実績を上げていく戦略を持っていたのです。また、これらの人財を「コスト」ではなく「投資対象の資産」として捉え、リスクを抑えながら育成する仕組みを整えていることも説明してくれたとのことでした。
知人は、「厳しい指導を通じて残った人」が人財として選ばれると思っていましたが、K氏のやり方はその逆でした。この新しいアプローチに驚きつつも、今の時代に適した方法だと納得したそうです。確かに、今の時代に求められる能力は変化しています。また、若い世代は叱られることでやる気を失いやすいため、時代の変化に対応したK氏の方法は理にかなっていると思ったとのことでした。それを聞いて私もその新しい考え方や対応の仕方は確かに筋が通っており、K氏の狙いは達成されるだろうと思いました。
世代を超えた連携が求められる時代です。私自身もZ世代の若者と接する機会がありますが、更に理解を深める必要があると痛感しました。このギャップの存在を知り埋めることは大切です。時代の変化にさらに敏感になってカイゼンレベルの向上を図りましょう!
時代の変化のテーマについてさらに深く掘り下げていきたいと思います。