脱力・カイゼントーク 第66回

身近なデジタルの話 2-3

先回、従業員の方が会社のためになる勉強をするには、まずはその時間を確保する必要があるとお話ししました。今回は「どうやって学ぶか」という点に焦点を当てます。もちろん社内での勉強会もありますが、新しいテーマを学ぶには、外部の講習が必要になることも多いでしょう。

勉強のための時間を設定する重要性はお伝えしましたが、現状は人手不足で既に時間が足りないといった状況があるかもしれません。そうであれば、最初から丸一日かかる外部講習を受けるのではなく、毎週2時間とか、月のうちの半日といった短い時間から始めるのが良いと思います。そのような場合には、時間を自由に設定できる通信教育は非常に効果的です。

昔の通信教育には、いくつかの問題点がありました。私自身、若いころに会社が半額負担してくれて「生産管理」の通信教育を受けました。毎月教科書が送られてきて、勉強した上で巻末にある理解度確認のための試験問題を解いて郵送し、ひと月後に採点結果が返ってくるというものでしたが、質疑応答ができず、分からない点が解消されないままになりがちでした。その上、答案が返ってくるまで時間がかかり、モチベーションを保つのが難しかったのを覚えています。

しかし、こうした問題点はデジタル化によりかなり改善されています。例えば、受講者の時間に合わせて学べる方法として「eラーニング」があります。最近の教材は、自由な時間に学べるだけでなく、学習成果が見える形で確認できる仕組みがあり、モチベーションの向上にもつながります。パソコンやスマホを使って講師の講義を音声や映像で学ぶことができ、1回の勉強時間も短い単位で完結し、さらに、理解度のチェックもオンライン上のテストなどで行えるので、リアルな講義に近い環境が実現しています。また、動画コンテンツなので復習をしたり、オンラインでの質疑応答のような双方向でのやりとりを可能にしたコンテンツなども活用でき、さらにオンラインコミュニティを通じて他の学習者と交流することもできるものもあるので、従業員が積極的に学習に取り組む姿勢を育てることができます。これは昔の通信教育にはなかった大きな利点です。

ただし、いくら「eラーニングが」便利だからといって、リアルに講師と会話をする機会が不要だということではありません。通信教育による学びだけではなく、ウェブを通じた予約制の講義で質疑応答だけでなく相談を行ったり、悩みを聞いてもらったりする時間を計画的に取り入れることも有効だと思います。

最後にもう1つ、勉強環境として重要な要素は「場所」です。先日ある会社で、自席でeラーニングをしている方を見かけました。「いい取り組みだなあ...」と思ったものの、途中で電話がかかって来てせっかくの勉強が中断されてしまいました。勉強時間は1時間ほどと限られているため、また人の目も気になることがあるでしょうから、集中を妨げる電話などの邪魔が入らない学習場所を整えることも大切だと感じました。

結論として、忙しい中でも、「eラーニング」のようなデジタルツールをうまく活用することで、従業員が効果的に学び、会社に必要なスキルを向上させることが可能です。また、リアルな講師との対話の機会を設けることで、学びの質をさらに高め、会社と従業員の双方に大きな利益をもたらすことも可能でしょう。積極的に勉強の時間を活用していきましょう!