
5月になりました。私にとって5月の印象は「五月晴れ」です。桜が散って葉桜になり、新芽が美しく、天気の良い日が増えてきます。私はもともと歩くのが好きなので、5月になると自然に歩行数が増え、少し気持ちも軽くなるように感じます。
先日、指導先の社長とそんな話をしていたところ、その社長も同じようなことをおっしゃいました。お客様のところへ営業に行くのが楽しく、最近は結果も好調だというのです。そこで私は、少し突っ込んで聞いてみました。「お客様に直接会いに行くことと、WEBで打ち合わせをすることを、どのように使い分けていますか?」すると社長は、ご自身が考えるREALとWEBでの対面の使い分けについて話してくださいました。
直接会うことには、大きな力があります。内容そのものも大切ですが、「わざわざ来てくれた」ということが信頼につながることがあります。画面越しでは伝わりにくい空気、間合い、熱意が伝わるからです。難しいと思っていた契約が、直接会うことで前に進むこともありました。
一方で、何でもかんでも訪問すればよいというわけではありません。相手が忙しい時に押しかければ迷惑になりますし、わざわざ会わずに済ませることで相手のためになる場合もあります。
WEBでの対面にももちろん良さがあります。移動しなくても遠方の人とすぐにつながることができ、短時間で情報共有ができます。目的が明確で、資料が整っていて、事前に論点が共有されていれば、WEBでも十分に成果を出すことができます。しかし、準備もせず、ただ画面の前に座っているだけでは時間のムダになります。相手の表情だけでは雰囲気や空気を読み取りにくく、少し込み入った話になると、理解がずれたまま進んでしまうこともあります。
メールやチャットでは尚更です。簡単な連絡や記録を残すにはとても便利です。しかし使い方を誤ると、「メールしてありますよね」という責任転嫁のようなやり取りになってしまうこともあります。伝えたつもり、読んだつもり、分かったつもり。この「つもり」が後で大きな問題になるのです。
仕事では、この使い分けがとても大切です。直接会うのか、WEBにするのか。電話をするのか、メールやチャットで伝えるのか、書面に残すのか。これらは学校で体系的に教わることが少ないため、意外と多くの人が感覚で使い分けています。感覚だけに頼ると必ずと言っていいほど問題が起きます。契約や責任に関わることは、口頭だけで済ませず、必ず記録に残す必要があります。お客様との打ち合わせでも、会議の内容を記録し、後で確認できるようにしておくことが大切です。
社内でも同様に上司が部下に口頭で指示を出し、その後で「言った、言わない」「聞いていない」「そういう意味だったのか…」という会話が起きることがありますが、これは大きなムダです。一方で、文字では伝わらない気持ちもあります。相手が困っているのか、納得しているのか、不安に思っているのか。そうしたことは、直接会ったり、声を聞いたりすることで分かる場合があります。
これから必要なのは、REALかWEBかを単純に決めることではありません。相手との関係、伝える内容、緊急度、記録の必要性、そして相手への思いやり。これらを考えた上で、最も良い方法を選ぶことだと思います。
5月の気持ちの良い空の下で、少し外に出て、人と会い、話を聞き、相手を理解する。そして、必要なことはきちんと記録し、WEBやデジタルの便利さも活かす。そんな良いバランスを、これからの現場で作っていきたいものです。
日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫