2月のご挨拶

確定申告の季節です。数字を見ると購入品のコストが大幅に上がっていることを実感します。原材料費や人件費が上がっていて、加えて円安ですから諸物価が上がっていることは理解できますが、このままでは生活が苦しくなるので、給料も上がり続けることが望まれます。給料を上げるためには、その原資を生み出す必要があるわけですが、製造業にとって、それは常に課題であるかと思います。

このような状況下で、経営者は給料を上げたいものの、経費も大幅に上がり、給料アップの原資が削られていくことでつらい思いをしています。一方、私達製造業の仕事の中で生産性向上の実現はこれまでも継続して実行してきた活動であり、それだけに更なる生産性向上は決して容易なことではありません。

そういった中で、世の中を見たときに、私にはとても残念に思えることがいくつかあります。例えばガソリン価格の上昇です。燃料油価格激変緩和補助金の減額、原油価格の高騰は分かりますが、税金の仕組みを見ると、1リットル当たり53.8円のガソリン定額税がかかっており、その上に石油石炭税、消費税がかかるため、税金に税金がかかる「多重課税」であり、こういった問題はいまだに改善されないままです。

さらに残念なのは、税金を決める立場の政治家が、自身の収入を正確に記載しなかったという法に反する行為をして新聞沙汰になっていることです。脱税ではないにしても、明らかに法律違反です。一部の議員とはいえ、こうした不正が明るみに出ると、不信感を抱かざるを得ません。

モノづくりの現場では、従業員が細かいコストまで気を配り、少しでも多くの賃上げ原資を確保しようと努力しています。そんな中、国会議員が軽率な行動を取ることで、「こんな状況ではやっていられない」と思う人が増えるのは避けられません。透明性・公平性が保たれているとは言い難い、納得できない状況に強い疑問を感じます。努力が正当に報われる社会こそ、持続的な成長の基盤だと考えるからです。

そこで改めて自分たちに必要なことを考えると、技術や技能の向上はもちろんのことですが、それと同じくらい大切なことは、透明な評価の仕組みがあり、努力が公平に評価され、活動をし続けることに納得できる環境が整っていて、働く人が高いモチベーションで活動に臨めることだと思います。こういったことがしっかりと担保されて、初めて皆が納得して本気でカイゼン活動に取り組むことができます。

生産性向上やコスト削減の取り組みが、公平に評価される環境が整っていれば、現場のカイゼン意欲も自然と高まります。こうした仕組みが会社の中で機能すれば、従業員も納得感を持って働くことができ、結果として中長期にわたる会社全体の成長につながっていきます。

製造業は国を支える大きな力です。そこで働く人たちが前向きにカイゼン活動に取り組める環境づくりを、これからも一緒に進めて参りましょう!


日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫