新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
昨年は30年以上にわたって続いていたデフレがついに終わり、インフレ化に伴い給料も上昇し、平均賃上げ率は5.25%(前年は3.76%)と30年ぶりの高い伸びになりました。これは世界では既に始まっていた動きに日本が追い付き始めたということであり、昇給に関しては継続性が大きな課題となっています。今年はこのような課題を念頭に大幅に生産性を向上し、成果を上げていく年だと考えております。そこで、今年一回目の今月の言葉は今年のカイゼンの方向性について私の考えをお話しします。
ピーター・ドラッカーは『ポスト資本主義社会』や『明日を支配するもの』といった著書で「20世紀は工場の肉体労働の生産性を極限まで高めたが、非肉体労働の生産性はまだまだ低いままである。21世紀は非肉体労働の生産性を高める時代になる」という主旨の言葉を述べています。
これまでの私のカイゼンを振りかえると、全部門の参加を前提としておりましたが、やはり製造直接部門のモノづくりのカイゼンが中心で、そのサポートして技術、設計、管理、営業などの間接部門が参加するという位置づけであることがほとんどでした。私自身はこの体制に大きな疑問を持っておりませんでしたが、ここ最近、デジタル化などのテーマが増えてきたことに伴って、間接部門自体の仕事の進め方のカイゼンがテーマになることも増えてきていました。既に起きている変化ですが、改めてこの変化がこれからのカイゼン活動の新たな方向性となると考えています。
そこで、これまでの生産現場の生産性向上活動を継続しながら、新たに設計・技術・営業・管理など間接部門の仕事の生産性を高めるカイゼンを進めたいと思います。そして、その中で生まれる余力を、新市場や新製品の開発、デジタルなどの新技術の導入に活用し企業の成長を加速させたいのです。これは、生産性向上を生産現場の労働生産性対象の活動と狭義に捉えるのではなく、会社全体で生み出す付加価値の生産性向上活動へと進化させることでもあります。
これまでの生産現場中心の生産性向上に対して、これからは事務所も生産性向上の対象になると申しましたが、その手段の一つがデジタル化による新種のロボットの投入です。生産現場には「協働ロボット」、事務所には「RPA(Robotic Process Automation)」を導入し、人の業務をロボットに置き換えることで効率化を図ります。さらに、デジタル化で生まれる膨大なデジタルデータを活用することで、より高い経営成果を追求することが可能です。たとえば、設備の稼働データから予防保全情報を抽出し稼働率を向上させる、生産データを分析してスケジュール調整を最適化する、あるいは経営情報を即時開示することで経営判断のスピードを上げるといった取り組みが考えられます。このようにデジタル技術を活用して、より大きな付加価値の生産性向上成果をあげたいのですが、これらを皆様と勉強しながらチャレンジしていきたいと考えています。
新しい年が皆さまにとって飛躍の一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。今年もご一緒に頑張りましょう。
2月12日(水)に静岡駅近くの(株)トーコン様にて、デジタルの勉強会も兼ねた工場見学会を予定しております。改めてご連絡を申し上げます。
日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫