2月のご挨拶

 2月になりました。

街の中も新幹線の中も明らかに人が増えているのが分かります。あるいは近々新型コロナの分類が2類から5類へ見直される計画が発表されるなど、世の中が活発な方向に向けて動き始めています。これらは明るいニュースといえますが、多くの注文が来てしまうと今度は人手不足で注文をこなせない、という次の不安をお持ち方も多いのではないかと思います。

最近中小企業に人が来ないで困っているという話をよく聞きます。募集しても応募がないし、来てくれてもすぐに辞めてしまうといった内容です。そこで今月の話として、せっかく来てくれたのにすぐ辞めてしまうことを何とか防げないかについて考えます。

先日、自動車部品メーカーのA社に若い人が応募してきたのですが、働き始めて半日で現場が寒いという理由で辞めてしまったということでした。わずか半日で辞めてしまうのであれば、最初から来ないでくれた方が良かったと彼を指導したリーダーが嘆いていました。今の若い人はこらえ性がないと批判したい気持ちにもなりますが、それではこの状況を変えられません。この機会に新たな対応策を考えてみたいと思います。例えば会社案内の際に実際に現場を見ていただくなど、事前の説明をしっかりする企業努力は必要かと思います。それらをせずに、当人が現場で初めて知るというのはよくありません。そしてこの際、現場作業着を見直してみるのはいかがでしょうか。最近の作業服は暖かくて動きやすいなどの機能性と、カッコよさのファッション性が昔とは比べ物にならないくらい上がっています。大きな変化の時代とはよく言われますが、まずは自分の身の回りをガラッと変えるのも今ならではの変化だと思います。

それともう一つ、ある若い人から聞いた話をお伝えします。彼らがその会社で働きたくなる条件ですが、それは「自分の未来をそこで考えることができるか?」という点だそうです。「自分は役に立つのかな?」「この会社は将来面白いことをしてくれるかな?」「頑張ったら給料が上がるかな?」そういった期待を持てる会社で働きたいということです。そして少し前の世代の人間に当たり前のことが、今の若い人には全く受け入れられないことがあることも聞きました。「自分の時間がまずは前提で、給料が増えても残業が増えるのであればやりたくない」ということです。仕事にやりがいを求めている人だけではなく、趣味に時間を使いたいという人も多く、皆同じではないのです。そこで帰りたい人には帰ってもらい、もちろんこの仕事をやる気があって残業する人にはやってもらうということになります。皆が平等である必要もないのです。今っぽくいえば多様性であり、これを認めた上で経営を考えます。残業当たり前と言ったら若い人はまず来ません。最初から多くを言われると面倒くさいと思う若者は多いので、最初から多くを求めない方がいいようです。最小限のことを伝えることで相手が質問をしてくることもあるでしょう。昔とは違うことをしっかり理解して、若い人が期待できる会社の内容をアピールすることで人材を得ることが大切なのだと思います。

このように多様性を認め、その上で各個人の能力を最大限活用して働く時間を短くして、効率を上げれば会社は儲かり、人は幸せになります。この変化の時代を活用して経営力を上げていきたいものです。

このように考えると未来の会社をどのように作るのかを考えるのに役に立つと思います。製造業は現場カイゼンだけでなく未来のカイゼンにも着手することが必要になっているのではないでしょうか?


日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫