7月になりました。今年も昨年同様に真夏日(最高気温30℃以上)は当たり前で、猛暑日(同35℃以上)も続くといったことが起きるでしょう。加えて、今年は大規模な電力不足も予想され、電気を使う冷房に頼らない暑さ対策にこれまで以上に取り組む必要がありそうです。
一般的にカイゼン活動というと、5Sやコストダウンあるいは品質向上などがテーマに選ばれることが多いですが、今月は暑さ対策や熱中症対策などにもカイゼンのテーマを設定するのはいかがでしょうか。
とある会社では暑さ対策としてこれまでは現場にスポットクーラーを設置していましたが、製品のサイズが大きくかつ多工程持ちをしているため作業の守備範囲が広く、結果として現場で働く人にあまりメリットがないことが分かり使用台数を減らしました。その対応策として昨年は空調ファンをバッテリーで回して服内に風を通す空調服を導入しました。しかし気温が体温を上回るような日は、いくら風を通しても涼しくならないということで、あまり着てもらえませんでした。そこで、保冷剤と冷凍庫を購入して、冷えた保冷剤を使って空調服の中で冷たい空気を循環させるようにしました。ところが保冷剤を入れた空調服が重たいことや部分的に体が冷えることを嫌う人もいて、残念ながら全員が着用するにいたりませんでした。せっかくのアイデアでしたが、細かい使い勝手のところまで気が行き届かなかったのです。
そこで昨年のリベンジで、今年は快適な状態で仕事ができるように、みんなで、自分たちでできる熱中症対策のアイデア出しを始めました。
100円ショップや家電量販店に行くと、熱中症対策グッズコーナーが設置されていて、いろいろな商品が売られています。100円ショップの定番商品は水に浸して首に巻く布製のネッククーラーとコンパクト扇風機です。この頃は、街を歩いていても、扇風機で風を顔や首に当てながら歩いている人を多く見かけますね。家電量販店に行くと、首を冷却プレートとファンの両方で冷やすネッククーラーもそれほど高くない値段で売られています。現在、皆さんが手分けをしていろいろな商品の効果を試しています。今年はリベンジができそうです。
それと別の会社では熱中症の予防に欠かせない給水について、コンビニや自販機でペットボトルの商品を買う以外に、みんなで水やお茶などの飲み物をスーパーやAmazonで安く購入して冷蔵庫に入れておいて各自が飲むことも始めています。そのためにどのような商品を買っておくかを、職場の皆さんが集まってワイワイと話し合って決めています。例えばお茶は有名ブランド品とスーパーの格安ブランド品だと倍近い値段の差があるが、値段の違い分ほど美味しいとは思えないので、安い方がいいのではないか?とか、ミネラルウォーターに粉末のポカリスエットを用意してはどうか?といった感じでとても楽しそうでした。みんなの意見を取り入れながら会社でサポートするといったボトムアップ型のカイゼンが大きな効果を生み出すことがよく分かります。
熱中症や疲労対策はここ最近急にその必要性が増しています。事故が起きてからでは遅いです。早めの対策を打って今年の夏を元気に乗り切りましょう。
日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫