4月のご挨拶

 4月になりました。街ではたくさんの新しい制服を着た学生たち、新しいスーツを着た新入社員たちのフレッシュな姿を見かけます。毎年4月はこれから新しいことが始まるという新鮮な気持ちになります。

さて、昨年末くらいから、材料費の値上がりが大幅に進んできていましたが、このところのロシアのウクライナ侵攻から始まった大幅な円安によりさらに高騰しています。この高騰のレベルは、企業努力でカバーできるものではありません。今回のこの変化はこれまで多くの日本の製造業が取ってきた、原材料の値上がりがあってもカイゼンをして原価低減で吸収して、極力値上げしないといった考えを変える良い機会です。利益率を下げても量を売ることで利益を確保することは、拡大成長期にのみ通用する考えです。しかしそれでは将来の成長に結びつきませんし、事実、日本の製造業は成長が止まっています。これからはしっかりと利益を確保する値付け戦略を進めることで将来につなげたいのです。

まずは原材料の値上がり分を価格に上乗せすることが必要になります。しかし原価の計算が商品ごとにできていなければ、正しい理屈の通った値上げができません。きちんとした根拠に基づいた値上げをしないと、後でつじつまが合わなくなって困ることが多いからです。製造原価は材料費+労務費+経費で構成されますが、昔からの製品であると、古い数字が改訂されずに使われていて、儲かっていないどころか損をしていたといったこともよく起きています。この際、改めて原価の構造や数字をチェックしてみる、そしてもし不明瞭な部分があったらこの機会にきちんと作り直して整備しましょう。

先日、本棚から1979年出版の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を取り出し、久しぶりにパラパラとページをめくってみました。すると当時は世界一であった日本をほめる内容として、日本は世界で1番ファクシミリが普及した国だと言う項目がありました。それは当時の日本が情報を早く手に入ることの大切さを知っていたという意味で使われていました。しかし今は諸外国から、日本では未だにファクシミリが使われているということで逆に呆れられています。極端な言い方をすれば、日本は頂点に立った時から40年以上大きな変化をしておらず、その間に諸外国に抜かれてしまったことを示しています。

一般論はさておき日本カイゼンプロジェクト内においてはこのような停滞を起こさないようにしたいと思います。次のステップとして現場カイゼンにおいても今回取り上げた原価の見直しなど、基礎的なところにも目を向けてカイゼンを進めて参りましょう。

来る4月15日にズームを使ったカイゼンミーティングを開きます。会員の皆様に集まっていただきこの時期にどう対応するか、皆様でいろいろな話をしたいと思っています。皆様にお目にかかるのを楽しみにしております。



日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫