2020年末のご挨拶

コロナコロナで明け暮れた厳しい2020年でしたが、もうすぐ幕を閉じ新しい年2021年、令和三年へと移ります。

ありきたりではありますが、暮れからお正月にかけての時期は、今年を振り返り来年に思いをはせるときです。私はこれから何をするかを考える時、必ず過去を振り返ることをしています。そこで今回は最初に私がコンサルタントになった30年前からこれまでを振り返ってみました。するとその間にも今回のコロナに匹敵する大きな事件が何回も起きていることが分かりました。

まず、コンサルタントになってすぐにバブルがはじけました。それまでの経済の絶好調が突然に絶不調になり、次いで追い打ちをかけるように当時125円前後であった対ドルの為替レートが80円になるという超円高も始まり、欧米への輸出がピタリと止まりました。この時点での経済の停滞は大変なもので、お客様の工場に伺う時の新幹線車両に私一人だけということはしばしばありました。

しかし欧米への輸出ができなくなった一方で、当初は製造拠点としての位置づけであった東南アジア諸国がマーケットに育ち始め、トヨタ・日産・ホンダなど自動車メーカーが現地の経済や環境に見合ったアジアカーを作ったところ大ヒットするなど少しずつモノづくりにも改善の兆しが出始めます。そしてバブルの時代の金余りから来た過剰投資や改善活動の停滞などが反省され、企業体質のスリム化や改善活動の再活発化などが始まりました。そして日本経済は少しずつ上向き中国にコストで負けないモノづくりを目指す企業も出始めます。

少しずついい感じになってきたなあ…と思っていたころ、次にドーンと来たのがリーマンショックでした。最初はリーマンブラザースというのが何かわからず当時の首相(麻生太郎氏)も「あれはアメリカの話なので我が国には全く関係ないです」と言っていましたがあっという間に世界恐慌へと変わりました。この時も自動車業界中心に生産が止まり日本はもうだめだ…という感じが広がっていました。もちろん新幹線もガラガラでした。

ところが日本の製造業は粘りを見せます。コマツが建機の管理にコムトラックスという今のICT化の先駆けのようなイノベーションを生み出し、難しかった中国でのビジネスで大きな利益を上げたことが紹介され、革新的な商品を生み出すことがこれからの時代には必要という動きが生まれ少しずつ景気回復の兆しが見え始めました。

ところがそこに東日本大震災が起き、再びの経済の復興が必要な状態となりましたが、東京オリンピックという起爆剤が計画され心待ちにしていたところに今回のコロナ騒動が来たということです。かように世の中は常に揺れ動いてきました。そしてこの文章を読んでくださっている皆様はこれらすべての荒波を乗り越えてこられた方々です。

コロナはまだ真っ最中なので予断は許せませんが、ニューノーマルという姿が見え始めました。この機会を通じていろいろなことが変わりそうです。特にICT化が大きく前進するでしょう。例えばZoomに代表されるウェブでの会合です。またハンコのような、なぜか続いていた非効率な慣習の顕在化や PCR検査の遅れの原因の一つがファックスで情報のやり取りでありシステム化されていないという構造的な問題が表面化しました。これらの改善は生産性と品質とコストのすべてに大きく貢献します。これを機会にDXを進めましょう。あるいはこれまで無造作にビールスや病原菌や花粉を吸いこんでいましたがマスクと手洗いを常時することで病気が減り健康レベルが上がると思います。これ以外にも様々な変化が起きますが、それらを上手に取り込んでよりレベルの高い競争力のあるモノづくりを構築いたしましょう。

今までできなかったことをこのタイミングで実行すれば、ピンチはチャンスに変わります。日本カイゼンプロジェクトも会員同士での情報交換や助け合いなどでこの時期を使って飛躍するお手伝いをさせて頂きます。どうぞお問い合わせください。

一年間、皆様には大変お世話になりました。皆様のお声を聴きながら私たち日本カイゼンプロジェクトも更にお役に立てる活動を目指したいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

皆様、どうぞよいお年をお迎えください。


日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫