6.強いモノづくり【急所83】日本の中小企業が造るもの

デジタル化が進む以前の時、多くの日本の製造業は、「良いモノを速く安く造る」ことを追求してきました。それはアナログ製品の場合、日本が得意とする「すり合わせ」が不可欠でマネが非常に難しかったことが背景にあったと思います。この時は速さと安さが大きな強みになったからです。

しかし時代は変わってきています。今や金型もデータで地球の裏側に送れる時代です。デジタル化は、多くの製品のすり合わせを不要にし、設備さえそろえば誰でも造れる「雑貨化」を進めました。家電を見ると分かりますが、売れると分かると新興国の企業もすぐにマネて一斉に参入できるようになっています。

土地も人件費も安い新興国と安さを競っても勝ち目はありません。しかし相変わらずコストを下げることで値段を下げてもっと売れば、利益率は下がるけれども利益は確保できるはず…といった昔ながらの経営をしている会社もまだたくさんあるようです。これは売り上げが伸びているときであればそれでも意味はあるのですが、売り上げが伸びない時代になったら考え方を変えるべきです。

それではどうするか? ですが、すり合わせが必須の「お客様に密着して、ご要望に合わせて、喜んでいただけるものを丁寧に造る」モノづくりを行うことだと思います。いつの時代も、生身の人間のニーズはアナログだからです。

そしてこれからの日本のモノづくりにおけるすり合わせは、アナログ時代での部品などをすり合わせ調整しながら丁寧に上手に造る「部品のすり合わせ」ではなく、お客様と丁寧に打ち合わせをしてご要望を理解して喜んでくれるもの、驚いてくれるものを作る「知のすり合わせ」だと考えています。お客様のご要望を多く取り入れて、付加価値の高いモノを造りましょう!

今週の言葉  雑貨は新興国と大企業に任せよ。