6.強いモノづくり【急所66】注文別モノづくりの視点

世の中で、一人ひとりのお客様に向けてモノづくりをしているところは決して多くありません。それは、製造工程やラインを見れば一目瞭然でしょう。

しかし部品でも完成品でも、買って下さる会社や人がいるから造られるのです。注文がないのに造ってしまえば不良在庫の山となって会社は倒産してしまいます。注文があるから造るという原点に立てば、モノづくりは製品別ではなく、お客様ごとに造るのが当然だといえるでしょう。

例えば、お寿司屋の板前さんが注文ごとに一つずつ握って出すようなモノづくりです。クルマも、車種や色、様々なオプションがありますが、オーダーごとに製造ラインを流れて新車が納入されるようになっています。規模の大小ではありません、モノづくりの強さの現れだといえるでしょう。3万点の部品が必要な自動車でできるのですから他でできない理由はありません。

11月22日の日本経済新聞朝刊のtheSTYLE/Fashion のページにデザイナーの中里唯馬さんのことが「針も糸も使わない 私のための一点物」というタイトルで紹介されています。中里さんは新素材や新工法を使って個々の人の体形に合わせた独自のデザインの服を安価に作れる準備をしていて、「やがて衣服は一点物しか存在しなくなる」と主張されています。

2014年に出版されたアンソニー・フリン著『カスタマイズ』(cccメディアハウス)には「大量生産から、低コストの“特注量産時代”へ」というサブタイトルが付いています。

マーケットインの時代からユーザーインの時代へと移行しつつあるといわれています。既にその傾向は見えてきています。準備を始めましょう。

今週の言葉  商品は、製品別でなく、お客様ごとに造れ。