プロジェクトでカイゼン [Project de Kaizen] 第6回

全体像を見える化するサクセスマップ

前回は、プロジェクトの成功に絶大な威力を発揮するものは「プロジェクト全体像の見える化」であり、そのためのやり方(手法)として「サクセスマップ」を紹介しました。プロジェクトの全体像を把握するために、従来はこのような見える化手法はありませんでした。というより、全体像を把握しようという必要性が低かったためかもしれません。
そのため、全体像を把握するためにはガントチャート(スケジュール表)が代用されていました。ある程度経験したことのあるプロジェクトであれば、スケジュール表で代用することもできるでしょう。しかし、経験の乏しいことや初めての場合は、これでは難しいのです。また、プロジェクトの関係者のうち類似プロジェクトの経験者は一部のみに限られる場合も、メンバー全員が全体像を把握し共有することは容易なことではありません。
前回ご紹介したサクセスマップとガントチャートをならべて掲載しておきます。(図1)
全体像を把握するためには、サクセスマップのようなやり方が適していることがわかります。
 
図1 全体像を把握するための二つのやり方

 
ここでサクセスマップの一例として、オフィス統合のプロジェクトをとりあげます。数か所に分散しているオフィスを一か所に集める「オフィス統合プロジェクト」です。このプロジェクトにかける依頼主(経営トップ)の熱い思いは、これまで述べてきたように(第4回)、背景文としてプロジェクトメンバーには伝えられているとします。これが理解できれば、このようなプロジェクトについて
これまで経験したことはなくても統合された状態(最終的な成果物)を想像することはそんなに難しくはないでしょう。しかし、このプロジェクトにかける依頼主の思いをどのように実現するかとなると、ある種の難しさがあります。そして、最終的な成果物をメンバー全員で共有するとなるとさらに難しさが増すことでしょう。このような難しさがあるときこそ、全体像を把握しそれを見える化することが欠かせません。そのときに役立つのがサクセスマップです。「オフィス統合プロジェクト」のサクセスマップ、作成開始時のたたき台(イメージ)を示します。(図2)
 
図2 作成開始時のたたき台(イメージ) オフィス統合プロジェクト

 
やや複雑なプロジェクトの場合は、このような大まかなたたき台から開始することができます(たたき台はリーダーが作成します)。大まかなイメージをメンバーで共有する、そしてこれをもとにさまざまな意見を織り込み完成形をつくり上げていきます。
 
例えば、オフィスのチームごとのカイゼン活動の成果をどう取り込むか、といった視点から、それをハコの一つとして追加します・・。
このような作業をおこなったうえでプロジェクトのメンバー全員が全体像を共有します。これを踏まえて依頼主の承認を得る、そのような手順で進めます。このときの注意点を述べておきます。
 
【承認を得るための注意点】
①目的を達成するための最終成果物は何か
②細部にこだわらず、全体像の把握に集中する
③スケジュールや役割(作業の分担)に固執しない
サクセスマップ作成の目的は、全体像を把握し、最終成果物のイメージについてプロジェクトメンバーと依頼主ですり合わせをおこない、承認を得ることです。
「始めよければ終わり良し」です。
プロジェクトを進めるべき方向がずれていると、初めは少しでも後になるほど進路は大きく狂うことになります。開始時点で、プロジェクトの進路について依頼主と確実に合意を得ることが欠かせません。そのための必要になるものがサクセスマップ、ということになります。

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