物流工程へのシステムと自動設備導入(3) 物流投資の前にやるべきこと

物流エラーを削減する手段としてハンディーターミナルを用いたバーコード照合が活用されています。比較的安価な場合もあるため、手軽に導入できるケースもあります。

確かに製品出荷で一点ごとに照合していくことで、エラー削減に寄与することはあるでしょう。人手で確認するとどうしても見落としや勘違いがあるため、それを防止するという目的は理にかなっています。

ただし今の仕事の仕方が不十分のままバーコード照合というプロセスを追加したとしても効果が出づらいケースがあります。

物流作業の決定的な弱点を皆さんご存知でしょうか。それは作業の標準化がなされていない、ということです。

多くの会社で、そして多くの物流現場で作業の標準化がなされていません。理由として「物流にはさまざまな作業があるため標準化できない」ということが言われます。

でもこの理由は本当でしょうか。さまざまな作業があるのは物流に限ったことではありません。製造工程でも実に多くのパターンの仕事をしています。

逆の考え方をしてみましょう。仕事を標準化しないから、さまざまな、無数の作業が発生しているだけのことです。

必ず仕事のルールを定め、それに従って作業を実施させなければ物流現場がよくなることはあり得ません。

つまり仮に「バーコード照合」という仕事を入れたとしても、どのような作業で、どのような手順で、どのような情報をもとに「バーコード照合」を行うのかについて作業ルールを定めない限り、100%の活用は難しいのです。

ですから、エラーが多い、だからバーコード照合を入れる、という安易な考え方ではその投資した効果は発現しえないと考えるべきです。

物流現場に情報システムや自動設備を導入することは時代に流れであることは事実です。一方で、その前に「やるべきこと」を実行したのかはもっと重要なポイントです。

表面的な判断で物流投資を行うことは好ましくありません。まずは仕事のベース(標準化)を作成しましょう。

作業の標準化を行い、それをやり尽くしたうえでお金をかけることを考えましょう。その投資をムダにしないためにも。