物流の自動化・システム化の留意点(6) 物流現場マネジメント・システム

皆さんが物流運営を行ううえで情報システムを導入されているかもしれません。膨大なアイテム数をこなすためには人手による作業だけだと工数的にも仕事の品質的にも大変だからです。

物流を運営するにあたってよく使われるシステムにはWMSとTMSが挙げられます。WMSとはウエアハウス・マネジメント・システム、TMSとはトランスポーテーション・マネジメント・システムのことです。

前者が倉庫管理ツールに対し、後者は輸送管理のツールです。これらは名称こそマネジメント・システムとなっていますが、実質的にはオペレーション・システムです。

物流オペレーションを効率よく、間違いなく進めていくために効果的なシステムだからです。この導入によって物流現場は大幅に効率化が進んだのではないでしょうか。

一方で本来の名称の通り、マネジメントをサポートするツールであると望ましいと思いますが、この点は今一歩かもしれません。

なぜなら現場サイドでマネジメントを十分に行えていないため、それを情報システムでサポートしようというニーズが起こらないからです。

たとえば本日午前の作業の生産性はどうだったのか、10時に出発したトラックの効率はどうだったのか、といったマネジメント系のデータを瞬時に見たいというニーズが無いのです。

このマネジメントの弱さは明らかに物流の弱点です。残念ながら生産現場と比較すると大きなギャップがあるのが事実です。

この背景には今まで物流に対する関心が薄かったことがあります。しかし物流コストが上昇したり、物流に携わる人が減ったりしつつある現状において状況は変わってきます。

会社の利益以上にかかる物流コストを何とかしたい、物流人員不足を生産性向上でカバーしたいと考えるのであれば、物流現場マネジメントは必須となります。

そしてそれをサポートするツールはどうしても必要になるのです。

今後皆さんが物流サポートシステムを導入するのであれば、ぜひマネジメントにつながる情報管理のできるツールを検討して下さい。

もちろんその前提として、物流現場マネジメントとして何をやらなければならないのかが明確になっており、一度はマニュアルで実行してみる必要があります。

そしてその延長線上に情報システムのサポートがあるということを認識していただきたいものです。