物流全体効率化の視点(2) 非効率物流の見える化

物流全体の効率化を行うにあたって最初にやるべきことは「非効率物流の見える化」です。サービス業の生産性向上が遅れているという話は前回させていただきましたが、そのレベルについても認識する必要があります。

たとえばトラック積載率。現状どれくらいかといえばおおよそ50%を切るレベルです。トラックが100台あったとしても50台しか稼働していないような水準なのです。

もし荷主と運送会社の契約が「車建て契約」であれば、運送会社にとってみると1回で運べる荷物を二回に分けて発注してもらえるので営業的には今の状況がよいのかもしれません。

一方で荷主にとってみると倍のコストをかけているわけですから、この状況を放置することは望ましくありません。

社会的にもインフラ(この事例ではトラックとドライバー)の有効活用ができていないとともに、CO2排出でも問題があります。人手不足にも拍車をかけています。

そこでまずは非効率となっていると思われる物流を見える化し、少しでもそれを解消すべく努力しなければならないのです。

トラック運送については「実車率」という言葉が使われます。これは稼働時間の内、実際に荷物を積んで走行している時間の比率を示します。

タクシーと同様、いかに収入に結び付く運行を行うかがポイントとなるのです。

倉庫内作業も同じことが考えられます。倉庫全体容積に占める保管荷物の容積の比率を「保管効率」と呼びます。この比率は多分20%以下だと考えられます。それだけしか倉庫インフラを活用していないということです。

物流作業も同様です。標準時間通りに仕事ができている状況はどれくらいあるでしょうか。大抵標準時間の1.5倍くらいの時間がかかっています。これは手待ち時間などのロス時間が存在するからです。

これら物流の実態は皆さんの会社で見える化できていますでしょうか。できていない会社では相当非効率物流が存在する可能性が高いと思われます。

これらについて見える化されたらその値をどの程度まで改善するのかについて目標を設定しましょう。ロスを半減あるいは最低でも1年間で2割は改善できるくらいの目標設定が必要です。

まずは数字を意識すること。これだけでも改善しようという意欲につながると思います。逆をいえば数字化されていない物流は管理がされていないと言っても過言ではないのです。

次回に続きます。