プロジェクトでカイゼン [Project de Kaizen] 第2回

建屋を新築せずにラインを増設する

前回プロジェクトはこんなときに効果的!の続きです。
増産対応のために、工場に新しい製造ラインをつくりたいが建屋内のスペースに全く余裕がない。
こういうとき、まずKZ法でやってみる手があります。
関係部署の全員が集まって(全員=Z)、工場内の不要なものを整理するカイゼン(=K)です。
このやり方で大きなスペースを生み出す。
まるで魔法のようですが、会員企業の方々は既に実践されており多くの事例もあります。
ここでは、べつのやり方で建屋を新築せずにスペースを生み出し製造ラインを増設した事例でプロジェクトの効果的な使い方をご紹介します。

図1は工場建屋内にある製造ライン(3本)の配置図です。


増産に対応するために同様な長さのラインをもう1本設置するだけのスペースはありませんでした。
そこで、プロジェクトチームはその問題についてのカイゼン案をつくり上げました。
それは、既存の全ラインの長さを短縮し、生み出したスペースに4本目のラインを新設することでした。

図2は、カイゼン案による製造ライン(4本)の配置図です。


新設ラインは既存ラインとは直角に配置されることになりました。
現状の製造ライン(3本)全てを短縮化し、同じスペースにラインを増設し合計4本のラインとして増産に対応する。
最終的な姿を目指してやるべき事は何か、関係者なら誰にでも理解できることです。しかし、多くの部署が関係しやるべき課題は多くしかも複雑です。
主な課題は次のようになるでしょう。

・ライン短縮化のための工程設計
・既存ライン停止に伴う生産調整
・部品メーカーへの納入計画の指示
・生産調整中の人員配置計画
・新ラインの立ち上げと品質管理
・顧客先での新旧製品の移行計画

これらの課題そのものは難しくないとしても、それぞれ時間的にうまく同期させる必要があります。しかも関係する部門が多い。
このような場合、段取りが上手でしかも仕事のさばき方がうまい人がいれば、何とかなるかもしれません。
そのような人がいない、あるいはそういう人を育成していきたい。それが、まさにプロジェクトの出番です。
わが国では、仕事の進め方について「仕事上手は段取り上手」「段取り8割、実行2割」などと段取りを重視する文化があります。
プロジェクトは段取りを体系化したものと考えることができます。
今回の事例では「関係する部門が多い」という特徴がありました。
プロジェクトでやるかどうかの重要な判断ポイントのひとつは「関係する部門が多いかどうか」にあります。
「異なる職場の人たちが集まって協働する」ことはそのこと自体が難しい。
プロジェクトという仕組みは、その難しさを大きく緩和させてくれます。
 

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