虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第11回:紙1枚の重さは何グラムですか?(その2)

では1円玉の重さは?

また最近消費税が上がったことで、つり銭の話題が出てきました。その釣銭に使われる1円玉が久しぶりに発行されるニュースがありました。1円玉の重さは、きっちりと1グラムです。5枚だと5グラムになり、割り箸と糸で簡単な天秤棒を作れば、即席の重量計が出来上がります。しかも直径は20mmであり、寸分の誤差もありませんので、横に並べるとモノサシのようになります。5個並べると、10cmになります。
また5万分の1の地図に1円玉を置くと、距離が1kmになることが分かります。1円玉は、1954年に発行されてから約60年になりますが、古いタンスからこの当時の硬貨を探せば価値が上がるかもしれません。昭和47年のものがありましたが、42歳の硬貨です。

では1円玉の厚みは、いくらでしょうか?1枚だと計測しにくいですが、10枚重ねると誤差は10分の1になり、精度が上がります。答えは、1.5mmです。このように身近にあるものを簡単なモノサシにすることで、測れないと思っていたことが測れるようになったり、精度も向上させたりすることもできます。定規だけがモノサシではなく、何か代用になるものがあるはずだという諦めない姿勢が大切です。これを繰り返していくと、いつもは見えなかったことが段々と見えるようになってきます。

財布の中にある硬貨の重量は、5円玉が3.75グラム、10円玉が4.5グラム、50円玉が4グラム、100円玉が4.8グラム、そして500円玉が7グラムです。1万円は、1.02グラムでわずかに1円玉より重くなっています。でもすり減ってしまうので、寿命は2から3年程度のようで、特に千円札は1から2年で交換されます。このためにお札には製造された年度が記入されていませんが、お気づきでしたか。
ちなみに千円札、五千円札、1万円札の共通した大きさは、縦幅が76mmで同じになっています。横幅は、千円札から順に150mm、155mm、160mmです。切符販売機や飲み物などの自動販売機での札を入れる部分の大きさは、76mmで統一されています。ところで、2000年に発行された二千円札は最近お目に掛かっていませんでしたが、沖縄に行った時に首里城でお釣りに出てきたのがこの二千円札でした。横幅は、154mmになっており、五千円札とは微妙な1㎜違いです。

お札を虫の眼で見てみるとすかしも見えて来る

10年、20年単位でお札が更新されていきますが、これはコピーの精度が高くなり、偽札を防止するための予防策です。色々な手段を酷使しながら偽札が造りにくいようになっています。フォログラフィーや特殊インクも凸版印刷もありますが、古典的なものとして、すかしや点字の認識マークの工夫や技術があります。

お札の左下に点字の認識マークがあり、以前は千円札が点字の「あ」:◎が1つ、五千円札は「い」:◎が横に2つ、一万円が「う」:◎が縦に2つでした。ところが2000年に二千円札が発行されることになり、この秩序が守れなくなりました。そのために苦肉の策として、◎を●にして縦3つで点字の「に」:二にしたのです。現在は、千円札が横棒になり、五千円札が八角形(丸に近いので判別しづらい)、一万円は左右の下にLとLの逆字(時計の9時の形)になっていますので、一度見比べてください。他にも違いを持たせる技巧が、一枚のお札の中にたくさん仕組まれています。

この点字は、缶ビールにも応用されましたが、当初は「びいる」となっていましたが、その後色々なアルコールが登場したので、現在は「おさけ」になっています。このプルタブで引っ張って、テコの原理でフタに切り込みが凹んで飲める状態になりますが、この形状は左右対称ではありません。なぜでしょうか?曲率半径をワザと大小にして、力が一点に集中する仕掛けになっているのです。プルタブを少し左にずらし(11時の方向)そこから引くと、力が少し弱くても右下(5時の方向)に切れ目が発生して、一気に開けることができます。これは指の力が弱い人から、生活の知恵として教えてもらいました。